さびたものを元に戻せないだろうか
  育てたい資質や能力

1 金属酸化物から酸素原子を奪うことができる物質と反応させれば,元の金属を取り出すことができるという見方や考え方を育てる。
2 酸化と還元は同時に起こるという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 化合しやすいものやしにくいものがあるという観点からものをみる。
2 加熱によって生成する水で試験管が割れるのを防ぐために,管口を水平よりやや下げる。
3 試験管を割って内容物を取り出すときは新聞紙などで包んで,ガラス片が飛び散らないように注意する。
  理論的な背景

1 酸化還元反応
 銅をステンレス皿の上で加熱すると,銅の赤色は様々な色に変化し,やがて黒色になる。これは銅が酸化され酸化銅(U)CuOになったからである。
    2Cu + O2 → 2CuO
 物質が酸素と化合する反応を酸化といい,物質が酸素を失う反応を還元という。水素の授受で定義する場合は,水素と化合することを還元といい,水素を失うことを酸化という。
 さらに,広い意味で,電子の授受で酸化還元を定義すると,電子を失うことを酸化といい,電子を得ることを還元という。例えば,銅を加熱するときの反応について,生じた酸化銅(U)CuOは,Cu2+とO2-からできていることから,CuはCu2+に,O2はO2-に変化したことになる。
  2Cu     → 2Cu2+ + 4e- 銅が電子を失う(酸化)
  O2 + 4e- → 2O2-        酸素が電子を得る(還元)
 酸化還元反応では,酸化反応と還元反応は同時に起こる。
2 砂糖や木炭と酸化銅の混合物を加熱すると,還元された銅が生ずる。また多量の白煙が発生し,同時に砂糖の分解が進み,次第に淡黄色に変化する。
  化学反応式 2CuO + C → 2Cu + CO2
 反応が終わったら,還元された銅が得られる。
 試験管内に赤色の銅が見える
 試験管を新聞紙で包み,金づちで試験管を割る。
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     取り出した内容物
3 砂糖を酸化銅と加熱すると,試験管内に水滴が生成することから,砂糖には水素が含まれていることが分かる。
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 発生した気体が石灰水を白濁させることから,砂糖には炭素が含まれていることが分かる。