金属樹をつくろう
  育てたい資質や能力

 金属には化学反応のしやすさに違いがあり,それによって金属が溶けたり析出したりする反応が起きるという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 金属と金属イオンを含む水溶液を準備して,それぞれを組み合わせたときの反応を観察することによりイオン化列に気付くようにする。
2 重金属を含む水溶液の取扱いに注意する。
 (1) 目や皮膚についたら多量の水で洗い流す。
 (2) 使用後は他の物質と混ぜないようにして保管し,専門業者に廃棄を委託する。
 (3) 特に硝酸銀は皮膚を腐食するので取扱いに注意する。
  理論的な背景

1 銀樹
 銅は銀よりイオン化傾向が大きいので,銅は溶け出して銅イオンになり,溶液中の銀イオンは銀として析出する。
   Cu → Cu2+ + 2e-(酸化)
   Ag+ + e- → Ag(還元)
   Cu + 2Ag+ → Cu2+ + 2Ag(全体)
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2 銅樹
 鉄は銅よりイオン化傾向が大きいので,鉄は溶け出して鉄イオンになり,溶液中の銅イオンは銅として析出する。
   Fe → Fe2+ + 2e-(酸化)
   Cu2+ + 2e- → Cu(還元)
   Fe + Cu2+ → Fe2+ + Cu(全体)
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3 鉛樹
 亜鉛は鉛よりイオン化傾向が大きいので,亜鉛は溶け出して亜鉛イオンになり,溶液中の鉛イオンは鉛として析出する。
   Zn → Zn2+ + 2e-(酸化)
   Pb2+ + 2e- → Pb(還元)
   Zn + Pb2+ → Zn2+ + Pb(全体)
4 イオン化傾向
 金属が電子を放出して陽イオンになり,水溶液に溶け込む性質をイオン化傾向という。イオン化傾向が大きい金属ほど酸化されやすく,化合力が大きい。
 金属が陽イオンになる傾向は,酸に対する金属の反応や金属のさびやすさなどにより推定できる。
 この実験では金属塩の水溶液に金属を加えたときの反応により金属が陽イオンになる傾向を調べる。
 イオン化傾向の小さい金属のイオンを含む溶液とイオン化傾向の大きい金属を組み合わせると金属樹が観察できる。
 イオン化列(イオン化傾向の大きなものから並べたもの)
   K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au