しょう油から食塩を取り出そう
  育てたい資質や能力

 混合物から目的の物質を取り出すには,物質の性質の違いを利用すればよいという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 食塩以外の有機物は十分焼いて炭の状態にする。
2 蒸発時に液が飛び散らないように,水分が少なくなったら弱火で加熱する。
  理論的な背景

1 混合物と純物質
 しょう油のように,2種類以上の物質が混じり合っているものを混合物という。身の回りにある多くの物質が混合物である。これに対して,1種類の物質からできているものを純物質という。物質の性質の違いを利用して,混合物から純物質を取り出す操作を分離という。
   混合物…2種類以上の物質が混じり合ったもの
    混合↑↓分離
   純物質…1種類の物質からできているもの
2 分離
 分離には次のような操作がある。
 ・ろ過…粒子の大きさの違いを利用して液体と固体を分ける。
 ・抽出…溶媒への物質のとけやすさの違いを利用する。混合物に溶媒を加えて,混合物の中から目的とする成分だけを取り出す。
 ・蒸留…物質の蒸発のしやすさの違いを利用する。液体を加熱して蒸気にし,これを冷やして液体に戻す。
 ・ペーパークロマトグラフィー…色素の種類によって溶媒で運ばれる速さが異なることを利用する。
 ・吸着…物質を固体の表面に吸い付けて取り除く。
3 しょう油について
 しょう油には,薄口醤油,濃口醤油,減塩醤油などがあるが,塩分量は薄口醤油が最も多く,次いで濃口醤油,減塩醤油の順になっている。薄口醤油は,塩分を多く加えて発酵を抑えることにより色を薄くしている。
4 食塩水から取り出した結晶を顕微鏡で観察
 蒸発皿を用いて加熱蒸発した後の結晶を顕微鏡で観察すると,結晶が粗いため,食塩の結晶であるとは判断しにくい。そこで,食塩水をスライドガラスにのせ,弱火で加熱蒸発後,顕微鏡で観察することにより立方体の食塩の結晶を観察することができる。
弱火で加熱するが,火傷には十分注意する。
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5 食塩と砂糖をそれぞれ加熱
食塩と砂糖をそれぞれステンレスさじにとりガスバーナーで加熱すると,食塩は変化が見られないが砂糖は炭化する。
食塩の融点は800℃。砂糖の融点は160℃で200℃で褐色になる。
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6 塩分濃度計
塩分濃度計を用いて,しょう油や味噌などの塩分が含まれている食品中の塩分濃度(質量%濃度)を測定することができる。味噌などの固形物中の塩分濃度を測定するときは,水に溶かして希釈してから測定するとよい。
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