食品の中にビタミンCがあるか調べよう
  育てたい資質や能力

1 化学反応は一定の比例関係で起きるという見方や考え方を育てる。
2 必要なジクロロインドフェノールの滴数と飲料水に含まれるビタミンCの量から比例関係式を用いて,1滴のインドフェノールに相当するビタミンCの量を求めることができる。
  学習のポイントと配慮事項

1 単元の導入において,ビタミンCとジクロロインドフェノールの関係を実験によって理解させる。
2 ビタミンCの量を量る場合には途中でジクロロインドフェノールがなくならないように多めに作って実験を行う。
3 ジクロロインドフェノールの濃度は,教師が実際に実験を行い,決めておく。
(あまりに薄いと滴数が多くなり時間がかかる。濃すぎると,食品による違いが明確でなくなる。)
  理論的な背景

1 ビタミンCについて
 ・ ビタミンCはコラーゲンという体の構造をささえるタンパク質や,骨や歯をつくる働きと,野菜の鉄分の吸収をよくする働きがある。
 ・ ビタミンCが不足すると組織を結び付けるコラーゲンの作用がなくなるため壊血病になることもあり,出血をおこしたり歯が抜けたりなどする。
 ・ ビタミンCを摂ると風邪やインフルエンザを予防できるという考えがあるが,摂りすぎるとビタミンCは尿になって体外に排出される。
 ・ ビタミンCが,発癌物質のニトロソアミンの生成を防ぐことが明らかになっているが,長期間にわたって大量にとっていると,膀胱や腎臓に結石ができたり,ビタミンB12がこわれたり,骨からカルシウムがうしなわれたりする問題もある。
2 ビタミンCの多い食品
 ・ 果物…イチゴ,メロン,パイナップルなど
 ・ 野菜…ブロッコリー,キャベツ,トマト,ホウレンソウ,ピーマン,大根など
3 ジクロロインドフェノールについて
 ・ ビタミンC(アスコルビン酸)は色素2,6−ジクロロインドフェノールにより酸化されて,デヒドロアスコルビン酸になる。
 ・ 同時にジクロロインドフェノールは還元されて無色の物質に変わる。
 ・ 滴定溶液中のインドフェノールが,pH4.2以下では赤色,pH5.2以上では藍色になるため,ビーカー内のビタミンCが完全になくなった時点で微ピンク色となり,反応の終点が容易に決定できる。
4 ビタミンCの量の決定について
 ・ ビタミン飲料A(100gに30mgのビタミン量と記載)
 ・ 100gの飲料水をとり,インドフェノールを落とす。
 ・ 2152滴でピンク色が付く。
 ・ 比例計算で 30:2152=x:1
x=30÷2152=0.0139mg
 よって,1滴のジクロロインドフェノールに対応するビタミンCの量は0.0139mgとなる。