ヒントカードの対応[酸性雨を調べよう]
  1 どうして,pHが同じにならないのかな?

◎ 雨の酸性度の変化
 雨は,空気中の有害物質を取り込んで落ちてくるために,一般的には,降り始めのpHが一番低く,次第に中性側になっていく。
 また,酸性雨の原因が近くにある場合には,その変化が大きく,雲をつくり雨をつくる段階で有害物質が取り込まれ落ちてくる場合にはその変化はあまり大きくならない。
 そこで,酸性雨を次の二つに分類する。
 @ Wash out 型 
  雨が降ってくる途中で空気中にある物質を取り込んで落ちてくる酸性雨
  この場合には,酸性雨の原因が近くにあると考えられる。したがって,pHの変化が大きい。
 A Rain out 型
  空を移動する雲ができる段階で空気中にある物質を取り込んでくる酸性雨
  この場合には,酸性雨の原因が遠く(西の方角が多い)にあると考えられる。したがって,pHの変化が小さい。
  2 酸性雨の原因は何だろう?

◎ 酸性雨の原因
 酸性雨の原因として大きいのは,化石燃料の燃焼によるものである。
 つまり,大きな工場の煙突から出るもの,自動車等の排気ガスが主なものと考えることができる。
 しかし,鹿児島の場合,次のような酸性雨の特徴が検出される。
 鹿児島の酸性雨はWash out型であると考えられる。
 <理由>
 @ 鹿児島の場合には,あまり大きな工場はない。
 A 自動車の通行量も都会に比べさほど大きくない。
 B 鹿児島市の場合,東方面からの風が吹いているときの雨の酸性度が高い。
 C 鹿児島市の酸性雨は,pHが3に近いことも起きる。
 D 桜島が噴火したときの雨の酸性度は高い。
 このことから,鹿児島の酸性雨の大きな原因は桜島であると考えられている。
  3 本当に酸性雨は良くないのかな?

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◎ 酸性雨の影響調べ
 酸性雨の影響調べとして,実際の自然を調べて確かめることは条件が複雑に絡まっておりなかなかうまくいかない。そこで,鹿児島の酸性雨と同じpHの水溶液をつくり調べることが有効である。
 この場合には,硫黄酸化物,窒素酸化物であるという考えから,硫酸や硝酸を薄めて使うことがいいと思われるが,取扱いが極めて危険であるため,塩酸を薄めて使う。
 酸性度としては,最大pH4に設定することが有効であると考える。
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◎ 影響調べの方法
 @ 同じ植物を栽培し,それに,酸性度の違う水溶液をじょうろで上からかけるという方法で水やりを行い,植物の変化を調べる。
   植物には,薄い葉の植物を選ぶ。特にニチニチソウは酸性雨に弱いようである。
 A 同じように,同じ水溶液を,葉の表面細胞の厚く堅い植物(たとえばツバキなど)にもかけて変化を調べる。
   この場合には,何ら変化が出ない。そこで,なぜそうなのかについて考えさせると,植物のもつたくましく生きる方法に気付かせることができる。
 B 同じ水溶液を,鉄,石灰石などにもかけて変化を調べる。