汚水をきれいにできないか
  育てたい資質や能力

1 自然は自らの力で汚染した水をきれいにすることができるが,ある一定以上のストレスをかけると自然が破壊するという見方や考え方を育てる。
2 太陽の働きによって気象現象が起きることが,水を浄化する大きな働きを担っているという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 先人の知恵や,汚水処理場での汚水をきれいな水に変えるシステムを調べ,それに基づいて自作の装置を作り,汚水の処理を行う。
2 汚水を蒸留する実験を通して,蒸留によってきれいな水だけが集められることに気付かせる。
  理論的背景

1 汚染物質と汚水の処理法
 水の汚染物質としては,農薬,生活排水,工場用水など様々なものが考えられる。それを,物質の種類で分けると,主に次のようなものに分けられる。また,その分解方法や分離の方法は右に示したとおりである。
 ・ 化学物質 … 化学反応を起こして沈殿物にして取り除く
 ・ 細菌類  … 殺菌剤で殺菌する。殺菌後は有機物になる。
 ・ 金属類  … 化学反応で沈殿させ取り除く。
 ・ 有機物  … バクテリア,生物等を用いて,無機物に分解させる。
 ・ 泥など  … 沈殿,ろ過等を行い分離する。
 したがって,それぞれの物質ごとに,その分解や分離の方法は変わってくる。それらの方法をうまく組み合わせることで,川の水を浄化することが可能になる。
2 畜産家などにおける汚水処理
 畜産農家などでは大量のし尿など廃棄物が出てくる。その昔は,それをそのまま下水に流すなどの行為が行われ,環境を破壊してきた。現在では,し尿等を集め,それにバクテリアの繁殖した土をかき混ぜてバクテリアによる分解をさせるなどの作業が行われている。
 また,大量に分解をさせるところでは,分解によって出てきたメタンガス等を燃料として利用したり,分解熱を使ったりしているところも見られるようになってきた。
 加世田常潤高等学校の過去の研究では,ホテイアオイが汚水を浄化する働きが極めて大きいという結果を得ている。したがって,水草等による汚水の処理についても研究させることは面白いと考える。
3 浄水場における処理
 浄水場における処理を簡単に図示すると次のようになる。
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