酸性雨を調べよう
  育てたい資質や能力

空気中に存在する有害物質は,雨とともに降ってきていろいろな害を与えていることがあるという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 酸性雨の集め方や調べ方をマスターさせる。
2 雨が降ったときのデータを基に,酸性雨の原因について考えさせる。
  理論的な背景

1 酸性雨の原因
 ガソリンなど,化石燃料などの燃焼で生じる硫黄酸化物や窒素酸化物などが大気中にあり,それが雨に取り込まれて落ちてくることである。
2 酸性雨の基準
 通常pH(水素イオン濃度指数)5.6以下の雨をいう。欧米では,湖沼や森林などの生態系に深刻な影響を与え,大きな国際問題となっている。
3 酸性雨の調査の始まり
 ヨーロッパで,森林が枯れたり,湖から生物がいなくなったりした原因を探る過程で,酸性雨の問題が明らかになった。そして,調査が始まった。
 日本では,環境庁による第一次酸性雨対策調査(1981〜87),第二次酸性雨対策調査(1988〜92)が行われ,第一次調査のモニタリングで,全国的に年平均値でpH4台の降水であることが分かった。これは,欧米並それ以上の酸性降下物量である。
4 酸性雨の影響
 酸性雨が降ると,まず植物などに影響が出てくる。葉の柔らかい植物では特に顕著で,アサガオなどでは,酸性雨が落ちたところは,葉が白くなったりする。鹿児島県でもモミの木に影響が出てきていると言われている。
 酸性雨が多く降り,集められると湖などが酸性になり生物が住めなくなる。また,金属でできた建造物,銅像などが腐蝕することも起きる。ヨーロッパでは,石灰質の石像が酸性雨で溶解してきている。