自然度を調べよう
  育てたい資質や能力

土地は,人々の生活の向上を目指して利用されてきており,その際には,自然との共存ということを考える必要があるという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 土地がどのように使われているかということと,人々の生活とを結び付けて考えさせる。
2 どのように土地を利用することが望ましいかについて十分に話し合わせ,多様な見方や考え方があることに気付かせる。
  理論的背景

1 自然度と人の生活
 人々は生活の向上を目指し,土地の利用を進めてきた。その具体的な方法としては,まず,荒れ地や山林を開拓し,耕作地を増やし,作物の収穫量を増やすことにあった。その後,宅地や工業用地,商業用地としての開発が盛んになるが,いずれも,自然を切り開くという方法である。そのために,自然の土地が少なくなり,そこで生息する生き物の数がだんだんと減少してきている。
2 多様な生物と豊かな自然
 自然環境を調査したときに,単一の植物で構成されているということは,それを食料としている生物のみが成育できることになり,豊かな生物層を構成することはできない。したがって,自然を調べる場合には,多様な生物が存在することによって自然が豊かであると判断することが適切である。
3 植生の自然度の基準
 植生による自然度の基準は次のように決められている。したがって,生徒の能力が高まるならば,下記の方法で調べさせることも有効である。
(環境省緑の国勢調査による)
 (1) 植生のほとんど残っていない地区
 (2) 水田,畑地などの耕作地,緑の多い住宅地(緑被率60%以上)
 (3) 果樹園,桑園,茶畑,苗圃等の樹園地
 (4) シバ樹落等の背丈の低い草原
 (5) ササ群落,ススキ群落等の背丈の高い草原
 (6) 常緑針葉樹,落葉針葉樹,常緑広葉樹等の植林地
 (7) クリ-ミズナラ群落,クヌギ-コナラ群落等,一般には二次林と呼ばれる代償植生地区
 (8) ブナ,ミズナラ再生林,シイ・カシ萌芽林等,代償植生であっても特に自然植生に近い地区
 (9)エゾマツ-トドマツ群集,ブナ群集等,自然植生のうち多層の植物社会を形成する地区
 (10)高山ハイデ,風衝草原,自然草原等,自然植生のうち単層の植物社会を形成する地区
 ※ 自然度の高さでは,9と10は同じレベル。