ヒントカードへの対応[冬の植物のようすを調べよう]
  1 冬芽の位置によって植物を分類してみよう。

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◎ 冬芽の位置による植物の分類
 植物で生きている部分は芽である。冬も生きている芽の部分の位置によって,校庭の植物を分類してみる。
 分類の仕方は下の分類法による。校庭では踏まれるので,寒冷によって植物はほとんど生育してないように見えるが,よくさがせば,ロゼット状になった植物が多数見つかるはずである。
 ロゼットの植物は冬場の時点では地表植物のように見えるが,夏場休眠する1年生植物であることが多い。
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<参考>
 地上植物の冬越しの仕方で大きなポイントは落葉と冬芽である。冬芽には裸芽と芽鱗の2種類ある。
@ 裸芽
 芽はうろこ状のものでは覆われず,特別な毛などを多数出して芽を覆い凍結から身を守る。
 ムラサキシキブ,アカメガシワ,センダン,アジサイなど
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A 芽鱗(がりん)
 うろこ状の芽を作り,その下に春以降開出する芽をもっている。うろこ状の芽は春芽が出たら脱落する。
落葉樹ではヤマザクラ,ブルーベリー,アオモジ,ソメイヨシノなど,常緑樹ではツツジ,ツバキ,タブノキ,バリバリノキなど多くの樹木。
芽鱗(がりん)の中では新葉の原器が折り畳まれている。 
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  3 寒いのに葉を地表に広げている植物がいるのはなぜ。地表面の温度と空気の違いはあるのだろうか。晴れた日に温度を測ってみよう。

 越年生植物の多くや一部の多年生植物は葉を地表面にはうように広げる。葉の形がバラの花のように輻輳(ふくそう)して見えるのでロゼット葉と呼ばれる。
 ロゼットの葉は広がりながらも重なっていないことはスケッチによって気づく。
 植物が成長するには,光合成を行うことが必須である。光合成を円滑にすすめるためには,光条件とCO2濃度,温度条件が重要である。冬季と夏季の植物が生育するための条件の違いは,光と温度であるが,特に温度が光合成の制限要因(光合成速度に強く影響する要因)になっている。
 逆にいうと冬場光合成を活発にするには温度条件を高くすれば成長できることになる。
 ロゼットが冬場だけにみられることからすれば,気温が低いことに対する適応の一つと考えられる。ロゼットにして葉を地表面に広げることでどの程度温度が増すかどうかを確認すれば,光合成速度が上昇するかどうか判定できる。
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◎ 晴れた日に温度を測ってみよう
 温度計を使って地表面,植物体上,地上部の3か所に置いて調べてみる。ただし,有意な結果を得るには晴れの日に実施しなければならない。
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 光が当たっているとき地表面が熱せられるので,ロゼット葉は地表面から熱をもらい葉の温度を上げることができる。
 このため,大気より温度が高くなり,光合成速度を上昇させて,冬場でも成長を続けることができる。