ヒントカードへの対応[校庭の植物の分布地図を作ろう] 1 どんな場所にどんな植物が生えるのかな ![]() ◎ 植物分布の観察 植物分布を考えるとき「@なぜそこに生えてきたか。」「Aなぜ生き残ることができるのか」という観点で観察する。 @については植物の種子や株がどうやって広がるのか(分散法)を考え,Aについては環境を考えなければ解決しない。 (1) 植物の分散法 調査した植物についての分散の仕方を調べてみる。 (a) 動物を利用する ア 粘液で動物にくっつく イ カギで動物にくっつく ![]() ウ 動物に食べられ糞として出させる エ 砂糖などのえさをつけて運ばせる ![]() (b) 風を利用する ア 風の抵抗が大きくなるような形 イ 小さくなり,軽くなる ![]() (c) 落ちて転がる ![]() (d) 自分の力で飛び散る ![]() (e) 波を利用する ![]() ・ 歴史の浅い学校の校庭では(造成して間もない)校庭に生えている植物は動物の存在が少ないので,動物分散の種は少なく風で分散していく種が多い。 ・ 歴史の古い学校では,土地が安定化しているため,昆虫も多く住み着き動物分散の種も増えてくる。 例 スミレ (2) 校庭の環境 次の視点で分け色鉛筆等を使って区分してみると分かりやすい。 ア 人が踏む場所 @ 人がよく通る A あまり通らない B 全く通らない イ 草刈りをする場所 @ 草刈りをほとんどしない場所 A 草刈りを年に数回する場所 B 年間に5回以上している場所 ウ 耕す場所 @ 耕す場所 A 草抜きをする場所 B 草刈りをする場所 エ 日陰,日向−校舎の北側南側か @ 1日中日陰の場所 A 日陰が多い場所 B 日向 オ 湿った場所,乾いた場所 @ くぼんだ場所 A 盛り上がった場所 カ 木を植えた場所,花や野菜を植える場所 @ 庭園 A 花壇 (2) それぞれの場所で多かった植物を次の観点で分類してみる。そのことによって生き残る秘訣を考えるとよい。(くわしくは理論的な背景参照) ア 1年生草本植物か,越年生植物か,多年生草本植物か 多年生植物は養分を次年度にたくわえることができるため,春先の成長が速く群落をつくりやすい。 そのため,チガヤやススキ,ギョウギシバ等は空き地で群落を形成する。 耕作地では地下茎が切断されて回復にコストがかかるため,1年生草本が繁茂しやすい。 イ 根・茎に特徴はないか。 @ ひげ根 A 主根と側根型 B 地下茎が発達する C 茎が地上をはう 地下茎の発達する植物は,刈り取りには強いが,耕されたりすると根や地下茎がちぎれてしまって回復するのにコストが大きい。 種子で新しい個体をつくる1年生草本の方が耕される場所では成長が速い。 ウ 成長点はどこにあるか。 成長点の位置が低いと光を浴びるチャンスは少なくなるが,踏まれや刈り取りには強い。 そのため,シバやギョウギシバ,オオバコ等は踏まれにくく群落をつくる。 エ 種子量はどうか 種子量の多い植物は校庭や花壇などの裸地等でいつでも芽生える可能性が高い。種子量の少ない植物はそのチャンスが少なくなる。 (4) 以上を元に植物分布をまとめると以下のような傾向が見えてくる。なお,これは種について一般的に言えることであって,個体については例外があることを認識しておくべきである。 @ 人がよく通るところに生える植物は何だろう。→ 踏まれに(踏圧)強い植物 A 校舎の北側に生える植物は→湿り気のあるところに生える植物,日陰でも成長する植物,ある程度暗くても成長する植物 B 刈られるところに生える植物は→多年生の草本で成長点の低いもの C 花壇に生える植物は→種子量の多い植物。寿命の短い1年生植物 D 植物が生える場所は植物の種類によって決まっているか。 このような事実をまとめると校庭に生えている植物は以下の表のようにまとめられる。 ![]() 2 同じ植物でも生える場所によって違いがあるのかな ![]() ◎ 同じ植物の,生える場所による違いの観察 調査した同じ種類の植物を比較してみる。 同じ種類の植物でも生える場所によって形態に違いが生じる。これは観察によって初めて分かる。 たとえば,校庭の中央部に生えるギョウギシバと植生の高さが高い他の植物の中で育っているギョウギシバと比較すると,高い植物の中で育ったものはギョウギシバも地表をはうよりは光をよりたくさん得られるように地表は這わず,茎から根を出さず,成長点も高い位置になっていく。 ![]() ![]() |