植物の葉はどのように付いているか
  育てたい資質や能力

1 植物は光を受けるため,巧みな体のつくりをしているという見方や考え方を育てる。
2 自然界の現象,自然物の形態等を数値化して規則性を明らかにすることができるという見方や考え方を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 できるだけ多種類の植物観察を通して植物が光を得るために合理的な体のつくりになっていることに気付かせる。
2 自然のもつ多様性は,単純さの組み合わせによってつくられていることに目が向けられるようにする。
  理論的な背景

1 植物の葉の付きかた
 緑色植物は光が当たらないと生きていけない。できるだけたくさんの光を浴びることで光合成を盛んにする。
たくさんの光を得るためには
 @ できるだけ垂直的に高い位置にあること
 A 光の当たる方向に葉が向いていることが植物にとって緊要な課題である。
 @のためには植物は葉をつくるエネルギーの一部を割いて,茎や幹を太くして垂直方向に伸びようとする。樹木の成長はできるだけ高くなることである。
 幹を太くして幹や茎が丈夫でない植物では他の植物に寄りかかって成長する。ツル植物が他の植物に絡んだり,寄りかかったりして生きていくのも光を浴びるための工夫である。
 また,木の幹にくっ付いて生きている着生植物がいるのも上の方で根付けばより光を得ることができることによる。
 同じ高さで光が当たるときできるだけ合理的に光を浴びるにはAの葉の方向性の問題が重要である。
 植物が孤立していた場合,主に茎の上から注ぐので,上から見ると葉は重ならないようにびっしりと葉が広がって付いている。光を最大限利用できるように葉は広がっている。びっしりと葉が付くことから複雑な葉の付き方をしているかと思われがちだが,葉の付き方を調べると単純なことに気付く。
 葉のつく配列を葉序というが,植物の種類によってちがい,同じ植物であれば,同じ葉序が展開されている。
 葉序は大まかに言えば下の三つのパターンに分類できる
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 (1) 互生 葉が互い違いに付く。
 (2) 対生 葉が2枚向き合って付く。
 (3) 輪生 葉が3枚以上向き合って付く。
2 葉序
 葉序を数値化して表すこともある。茎に付く葉が垂直方向に重なるとき,重なるまでに葉が何枚つき(分母),それまでに何回転するか(分子)ということを分数であらわす。葉序は同じ植物であれば一定である。
 葉序の求め方は,植物の葉で上位と下位の葉の位置が一致するところをさがす。丹念にさがせば出てくる。例えば下図のように,下から重なるところを調べ,番号を打つ。0と5,1との6,2と7等,一つずつ位置関係を確認して,2回転する間に5枚の葉があることがわかる。このときの葉序は2/5とする。(数えはじめの葉は数えない。)
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 上記の3パターンの葉の付き方を数値化した葉序で表すと以下のようになる。
 互生
  各節に1枚ずつ葉がつく。次の分数で示されるものがほとんどで例外は少ない。
  1/2,1/3,2/5,3/8,5/13,5/13,8/21,13/34
  そのうち 2/5,3/8が多い。
 対生
  各節に2枚の葉が向きあってつく。対生の葉序は二つの葉が1回転もしない
  うちに付いているので0/2であらわす。(コスモス,ダリア,サルビア,リンドウなど)
 輪生
  各節に3枚以上の葉がつく。1節に3枚であれば3輪生。葉序は0/3。
  4枚であれば4輪生。6枚であれば6輪生
  (サイヨウシャジン0/4〜6 アカネ,ヨツバムグラ 0/4, ヤエムグラ 0/8)
 このようなことから植物が上に成長していくときには,一定の規則性で葉が付くことが分かる。


参考文献「自然を調べる」原田洋 監修 木馬書館