ヒントカードへの対応[川原の石を調べよう]
  1 川原の石はどこから来たのだろうか?

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◎ 石を採集して調べよう
1 石を採集して,上流で同じ岩石の露頭をさがす。
2 地質図で,川の流域にどのような岩石が分布しているかを調べる。
 教師は地質図を使って川の流域に露出する岩石をあらかじめ調べておく。
 なるべく風化していない石を採集して,小さな標本を作っておくと,露頭で比較しやすい。
  2 川の水はどこから来たのだろうか?

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◎ 水系図を作って,流域の広さを調べよう。
 川がどこを流れているかは地形図上でたどって,ペンでなぞればわかりやすい。このような地図を水系図という。
水系図から川の水源を探したり,川がどのように流れているかを調べることができる。
@ 地形図の上にトレーシングペーパーをのせ,テープで固定する。
A ペンで海岸線などをなぞって記入する。
B 河川をペンでなぞって記入する。(海岸線と違う色のペンを使うと分かりやすい)
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《水系図の活用》
 水系のパターンと地下の地質構造は関係していることが多い。
それは川が地表の弱い部分(断層や割れ目,地層の境界など)を選ぶように侵食しているためである。
 山の尾根を結んで分水嶺を記入すると,流域面積を求めることができる。
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◎ 雨量から河川の流水量を推定しよう。
@ 水系図に山の尾根を結んだ図に5mm方眼の透明フィルムをかぶせてマス目を数え,流域面積を求める。
A 理科年表や気象庁のデータから地域の降水量を調べる。
 例えば,鹿児島市の年間降水量は平均約2200mmである(理科年表より)。
B 降水量と流域面積から水の量を算出する。
 例えば1mmの雨が降った場合,1kuの面積で1000トンの降水があったことになる。
 地表に降った雨は河川で流れるほかに蒸発するもの,地下水としてたくわえられるものがある。
  3 水の作用で地形はどのように変わったのだろうか。

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◎ 河川の侵食力を調べよう
1 河川の縦断曲線をつくって,河川の侵食力を調べる。
 水の侵食力は,流れの速さに比例する。川の傾斜を表した図(縦断曲線)を作ってみると,侵食の激しい場所がわかる。
@ 地形図(2.5万分の1又は5万分の1)とグラフ用紙を準備する。
A 河口や川の合流点などを原点として,河川が等高線と交わる点までの水平距離を求めて横軸にとり,その点の標高を縦軸にとった点をグラフにプロットする。
B 同様の作業を水源まで繰り返し,最後に各点をなめらかに結ぶ。
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 川の流れに沿った縦断面は,一般に上流ほど勾配が急で,下流でゆるやかになる。上流ではおもに侵食作用,下流ではおもに堆積作用が行われている。川の勾配が急変する部分(遷急点)は固い岩石が露出していることが多く,滝や早瀬などが見られる。
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◎ どれくらいの洪水で石が移動するか調べよう。
 通常時の河川は水も澄んでいて土砂が運搬されることはほとんどない。しかし洪水の時は水も濁り(泥が運搬されている),川底では石も運搬されている。
@ 増水時に水に浸かる場所で,1m四方の川原の石にペンキをぬり大きさごとに数を数える。このときなるべくいろいろな大きさの石を選ぶ。
A 川が増水したときに安全な場所から,川の増水の高さを観察する。
B 川が平常水深に戻ったら,もとの場所に残っている石の数を大きさごとに数えて比較する。また移動した石を見付けて大きさと移動距離を測る。
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◎ 川によってできた地形を調べよう。
(1) 川にどのような地形があるか図鑑などで探し,形態や成因を調べる。
 河川地形の例:V字谷,滝,扇状地,溶結凝灰岩の断崖,ポットホール,河岸段丘,沖積平野と蛇行
(2) 調べた地形が近くにないか探す。
 教師が典型的な場所をいくつか見付けておいて,例示すると探しやすくなる。
 川から離れた場所で河川地形を見付けた場合,生徒に昔の河川がどのように流れていたかを想像させる。