指導資料[液状化現象を起こしてみよう]
  育てたい資質や能力

1 地震によって災害が起こるとき,地盤や地質などが複雑にからんでいる場合が多いという見方や考え方を育てる。
2 液状化現象を再現するときには,粒の大きさや水の量などを変えて実験することを通して,要因を制御して実験する技能を育てる。
  学習のポイントと配慮事項

1 容器は透明なガラス瓶やペットボトルなどを用いる。
2 砂の密度より小さい物質は砂の上に浮き上がるのでプラスチックなども試してみる。ただし水に沈む(密度が1以上)ものを選ぶ。
3 与える振動の条件が一定になるようにする。
  理論的な背景

1 液状化現象
 ゆるく堆積した砂質の地盤で地震が起きると砂の粒子と粒子とのかみ合わせが外れ,一時的に地盤が液状になる現象を言う。
 このとき砂や水が流れ出す現象を流動化現象という。
 振動がない場合には,固体である砂が水の中で適当な間隔や空間をもって安定してるが,振動が与えられると,砂は水と同じように動くようになる。
 そのため重い砂粒が下へと沈殿し,軽い泥や水が上へ上昇する。
 日本では1964年の新潟地震でこの現象が大規模に見られ鉄筋コンクリートのビル200棟も傾斜,倒壊したことで地震災害として注目され,1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)でも埋め立て地を中心に被害が見られた。
 遺跡の発掘調査で「底なし溝」と呼ばれていたものは液状化によって生じたものであり,鹿児島県内の遺跡でも液状化による噴砂が見られることから,過去に大きな地震があったことが予想される。
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 液状化現象が発生するのは埋め立て地のように土砂がゆるく堆積して地下水位が高い地域とされている。また土砂の粒がそろっている(淘汰がよい)ほうが,空隙ができやすく液状化しやすいと考えられる。
2 液状化現象のモデル
 埋め立て地の場合,地表は一見乾いてかたい状態である。
 このような状態のモデル実験は大がかりになってしまい,生徒が机の上で実験することは難しい。
 そこでこの実験では\S砂全体を水の中に浸して,水中で砂が流動化する現象を表現している。
 これは水中に堆積した堆積物と同じ状態であり,地震時にはモデルと同様の液状化が水中の堆積物で起こっていると考えられる。