1 研究に取り組んだ観察,実験(2 大地の変化)


 2分野 観察2 地層のつくりを調べよう



2 観察,実験のねらい
 地表付近で見られる地学的事象として,地層及びこれを構成する堆積岩の野外観察を行い,地層の重なり方の規則性やその広がり方などを見いださせるとともに,地層の調べ方を習得させる。


3 観察,実験の実際
@ 実際の地層を観察し,地層の厚さ,広がり,色,境目などを見て,スケッチする。
A 各層をつくっているれきや砂などの大きさ,色,形,積もり方を調べて,@のスケッチにかき込む。
B 観察記録を基に,グループごとに柱状図を書き,全体で比較する。


4 問題点
(1) 学校周辺に適当な露頭がない。
 ○ 学校が平地や市街地にあるため,がけがない。
 ○ がけはあるが,草で覆われていたり,コンクリートが吹き付けてあったりする。
 ○ 露頭はあるが,風化していて新鮮な岩石や地層が露出していない。
 ○ シラスの露頭ばかりで,層理を観察できない。
(2) 移動の問題,生徒指導上の問題が絡んできて,野外観察の実施が難しい。
 ○ 野外に出ると生徒が散らばってしまい,生徒管理が難しい。
 ○ 事前指導は行うものの,実際の観察場所に行くと,周りの迷惑や危険性を考えずに,ハンマーを振り回したり,石を落としたりする。
 ○ 生徒は,野外でスケッチをしたりノートを取ったりすることを面倒くさがる。
 ○ がけでの落石や滑落事故などが心配である。


5 観察,実験のポイント
 実際に露頭を観察させることが最も有効であるが,上述したような問題などのために野外観察を行えないことも多い。その場合は,写真を見せることになるが,その写真は生徒にとってできるだけ身近な場所のものであることが望ましい。教師は校区やその近辺をくまなく回り,資料となる写真をできるだけたくさん撮影しておく必要がある
 写真は,露頭の全体が分かるように遠くから撮影し始め,徐々に近付きながら数枚撮影する(写真1〜3)。また,層の厚さやれきの大きさなどが分かるようなスケール(人,ハンマーなど)も一緒に撮影する。
画像


 道路工事などで層理の見られる露頭が現れる場合があるので,時期を逃さないように撮影しておく必要がある。
 撮影した写真はグループごとにプリントし,「なぜこのような地層ができたのか」と発問して,生徒たちに地層の成因を考察させるとよい。また,シラスの露頭であっても,近辺の地形や川底に現れている地層などと関連付けてシラスの下の様子を推測させると,地層の広がりを感じ取らせることができる。
 野外観察で実際に地層を観察させる場合も,写真で示す場合でも,地層の様子と地形などとを関係付けて,過去の大地の変動についてじっくり考察させることが大切である。


              (国分市立国分南中学校  瀬戸山公一郎)