前線のモデル


【目的】
 暖かい空気と冷たい空気が接する前線の実験を効果的に行うには,大きな容器が必要であり実験装置が大がかりになる。そこで空気のかわりに温度差の異なる水が接したときに,温度の低い水が下にもぐりこむ様子を観察し,前線の特徴を理解させる。
 同様の前線は大気中の寒冷前線だけでなく,海洋中の潮目(暖流と寒流の境界)や極前線にも見られるので,密度差による気体・液体の流れを理解させるのに役立つ。




【準備】
 観察用の水槽,しきり板,温度差のある水,着色用のインク
 しきり板は観察用水槽の厚みよりも1o程度,幅をせまくしたアクリル板に,薄いフォームポリスチレンの板を張り付けてすき間ができないようにカッターナイフで形を整える。
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【手順】
 @ 観察用の水槽にしきり板をする。
 A 温度差のある水(常温と2℃程度高温の水)を同じ高さまで注ぐ。見分けがつくようにインクで着色する。
 B しきり板を静かに上げて水の動きを観察する。


【結果】
 温度差が1〜2℃程度の場合でも低温の水が沈み込んで境界がなかなか混ざらない様子を観察することができる。
 画像【動画】front.mpg(334KB)
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 温かい水と冷たい水の温度差が大きいと,水の動きが速くなってしまった。常温から1〜2℃程度温める程度の方が観察しやすい。


【留意点】
○ 仕切を上げるときに乱流が発生し,両者の境界がはっきりしなくなることがある。そこで,しきり板を薄く作り,しきり板を上げるときにも静かに上げるなどの工夫をする。
○ 動きをさらにゆっくりするためには,水の粘性を上げればよい。そこで,ゼラチンを少量加えて,動きを遅くする方法もある。
○ 加えるインクが濃い場合は,温度差がなくても着色した水が下にもぐりこむ場合がある。これは,インクを加えることによって密度差が生じているためであり,事前に実験をして影響がない濃度を知っておく必要がある。