1 研究に取り組んだ観察・実験(1 身のまわりの現象)

 

  1分野上 音の大小や高低と物体の振動との関係を調べよう  

 

2 観察・実験のねらい

音について課題になるのは,発音体の振動の仕方と,音の種類との関係である。

学習指導要領解説においても,「音は物体の振動によって生じ,その振動が空気中などを伝わること及び音の大小や高低は,発音体の振動の振幅と振動数に関係することをとらえさせる」と述べられている。具体的には,学力検査問題等の中によく見られるように,オシロスコープやコンピュータを用いて視覚的に表現された音の波形を見て,発音体の振動の仕方と音の種類の関係を問う問題(図1)が解けるようになる必要があると考える。

2000年度 山口県公立高等学校 入学者選抜学力検査問題

そのためには,

@ 水面を伝わる波と関連付けて考えて,音が波動であることを理解する

A モノコードやスパイラルとじノートの針金の部分などを用いて高い音や低い音を出す実験を行い,音の大小と振幅,音の高低と振動数の関係について理解する

B オシロスコープやコンピュータを用いて視覚的に表現された音の波形を見て,発音体の振動の仕方と音の種類の関係について理解する

ことなどが必要になる。そこで,このようなねらい(特にA)を達成するために,「音の大小や高低と物体の振動との関係を調べよう」の実験を行うことになっている。

なお,従来は小学校3年生で音の出方や伝わり方,音が出ている物体の振動について学習していたが,平成16年以降の中学校1年生では,小学校で音の学習をしていないことに留意する必要がある。

 

3 観察・実験の実際と問題点

(1) 観察・実験の実際

光や音は日常生活で直接体験の機会が多くあるだけに,生徒の生活経験を生かしながら,日常生活との関連を図り,学習を進めていくことが必要である。このことは,学習指導要領解説においても述べられている。

一般的には,「日常生活と関連した身近な事象に関する観察,実験を行う」というねらいから,教科書では,ギターやモノコードを用いたりスパイラルとじノートの針金の部分を用いたりして,高い音や低い音を出す実験を行い,音の大小と振幅,音の高低と振動数の関係について考察するようになっている。

また,発音体の振動の仕方と音の種類の関係については,オシロスコープやコンピュータを用いて視覚的に表現された音の波形に関する図解の写真が載っている程度である。

 

 

5 実証授業の流れと結果および考察

(1)「音の大小や高低と物体の振動との関係を調べよう」の実証授業の流れ

 

引用・参考文献

@ 「 『身近な物理現象』の基本理念 」 宇都宮市立 上戸祭小学校 塚原 保

A 「中学校学習指導要領解説−理科編−」

B 「音の世界を探ろう−コンピュータを使っていろいろな音を目で見よう−」 山梨県 青柳 達也

C 鹿児島県総合教育センターホームページ内「中学校理科Q&A」

D 「NHKビデオ教材 理科実験観察集 波と音・1 解説書」(発売元:NHKソフトウェア)

 

有明町立宇都中学校 勝間 敦史