1 研究に取り組んだ観察,実験(3 動物の世界) 2分野上 ( 第2節 エネルギーをどのようにして得るか 呼吸モデル実験器)
2 観察,実験のねらい 肺の呼吸運動について明らかにするとともに,肺のつくりとはたらきについて理解させる。
3 観察,実験の実際と問題点 (1) 教科書に載っているペットボトルとゴム風船を使った実験では,肺の動きと呼吸との関係を実感しにくい。 (2) 教材社のモデルは品物の割に高価である。N社(33000円) (3) 教材社のモデルでは,あらかじめ胸腔内に肺が納められていることにより,肺が他動的に動いていることを実感しにくい。
4 観察,実験の改善のポイント,開発した教材教具 (1)概要 人の肺呼吸の実動模型で体腔のモデルをプラスチック容器で作り,それに塩化ビニール製の肺を入れ,横隔膜に見立てたゴム手袋を出し入れさせることにより内部の肺が空気を吸入したり排出したりするようすを理解する教材を製作する。さらに,従来のモデルで表現できなかった,肺は筋肉が無く他動的に運動をしていることを見せる工夫をすることにより,呼吸運動の仕組みをより一層意識して考えさせるようにする。 教材社のもの 今回自作した教具 (2)開発した教材 @ 材料と工具 ○ 哺乳瓶型貯金箱 ○ ゴム手袋(厚手 L) ○ ストロー ○ バッテリー補充液の袋(やや柔らかすぎる) ※その後クーのジュース袋を発見 ○ 針金 イ 工具 ・除光液,キリ,ニッパー,コルクボーラー,定規,はさみ,ペンチ,セロテープ A 呼吸運動モデルの作り方 ア 横隔膜の部分の作成 (ア)容器の底面をくりぬき作業
硬いので作業が大変。最初よく切れるキリで穴を開け,穴の間をニッパーで切り進み,最終的にそこの部分を丸く切り抜く。 (イ)横隔膜の部分の作成作業
ゴム手袋の親指だけ残し手袋を切る。親指の半分のところで切り開く。 (ウ)横隔膜の装着
最初輪ゴムで仮止めして,その後針金で固定。手袋を引っ張り,ゴムを均等に伸ばしうまく固定できたらはさみで形を整える。更にセロテープでとれないようにする。 イ 気管と肺の部分の作成 (ア)穴あけ作業
哺乳瓶の先を取り外す。だいたいの位置を決めコルクボーラーで2カ所穴あけをする。 (イ)バッテリー補充液の先の方をストローの太さにあわせてカットする。肺を哺乳瓶の先につける ウ モデルの完成 哺乳瓶の先の方を反対に装着する。 エ 課題 ○ 製作方法は比較的簡単なのであるが,肝心の容器が製造中止等で手に入りにくい。 ○ 今回のモデルでは,ろっ骨の動きは表現できていない。 ○ 横隔膜を引くのに力がいる。ゴムのため,長期保存が難しい。(→付け替え) ○ 肺の部分の素材に関しては,もっと効果的な物がありそうである。 ○ 実際の教科書では肺の運動に関しては,発展的な取り扱われ方になってきている。1時間の授業では,ガス交換等肺のはたらきのほうに時間を使うので,短い時間でメカニズムを理解させるにはワークシートの工夫等が必要である。 (鹿児島県立鹿児島養護学校 東哲治) |