1 研究に取り組んだ観察,実験(6 地球と宇宙)

 

  第2分野下 金星の見え方のモデル実験  

 

2 観察,実験のねらい

金星が光っているのは太陽の光を反射しているからで,太陽に対する位置関係が変わると見え方や大きさが変わってくることを理解させる。

 

3 観察,実験の実際と問題点

今までの金星の満ち欠けについては,教科書に示されている図での説明や,ビデオ・パソコンなどの視聴覚器具を使っての説明が一般的であった。この場合,生徒は自分の疑問を自分で確かめることはできなかった。

そこで,演示実験用の「金星の満ち欠けモデル」ではなく,生徒実験用の教具を作成することにした。

 

4 観察,実験のポイント,新たに開発した教材教具

(1) 観察,実験のポイント

ア 教具は班ごとに使えるように小型化させる。

イ 太陽のモデルには,光源として豆電球を使い,電球の表面に色をつけ,光が均一に出るように工夫する。

ウ 太陽のまわりを公転する金星のモデルには丸型のピンを使い,ピンの回転にはCDを使用した。

エ 光の反射を抑えるために,全体を暗くする工夫(つや消しの黒塗料や器具の表面を削るなど)を行った。

(2) 新たに開発した教材教具

ア 材料

透明半球(1個850円),黒色塗料,豆電球(1003,800円),豆電球用ソケット(502,500円),乾電池,丸型ピン(白がよい),発泡スチロール板,CD(使わなくなったもの)

イ 作り方

@ CD,透明半球,発泡スチロール板(他のものでも代用可)を黒く塗る。

A 豆電球のソケットをCDの穴にはめ込む。(少し穴が大きいので,セロハンテープなどを貼る)

B       発泡スチロール板の中心に豆電球のソケットが入るくらいの穴を開ける。

C CDの端のほうに,丸型ピンを刺す。

D 透明半球の一箇所にのぞき見用の半円の穴を開ける。(電熱線や発泡スチロールカッターがあれば楽に切れる)

E 発泡スチロール板の上に透明半球を固定する。(テープなど)

F 豆電球に乾電池をつなげ,下からソケットを回しながら観察する。

ウ 観察,実験の方法

@ 豆電球を点灯させ,のぞき穴から豆電球の下の部分を回しながら,丸型ピンで作った金星の見え方がどう変化するか観察する。(注:透明半球をつけたままでは,写真撮影ができなかったので,暗室で透明半球をはずした状態で,写真撮影を行っている。Aも同じ。)

A CDをはずして発泡スチロール板に丸型ピンをさし,金星の見え方の全体を観察する。

エ 課題

@ 金星モデルの半径が小さいので,大きさの変化がはっきりしていない。

A       透明半球内で不要な光が反射しないよう工夫が必要である。

 

5 実証授業の流れ

(1) 実証授業の流れ

(2) 実証授業の様子

 

6 実証授業の成果と課題

 <成果>

・ 実際に金星モデルが動きながら満ち欠けをしていくのでよくわかったという感想が多かった。

・ 金星が半月状に見える部分を探すときに,何度も動かして観察することができていた。

・ プリントと同じ状態で,金星の満ち欠けを見ることができた。

<課題>

・ 金星を動かして観察するときに,豆電球のコードを絡ませたり,切ったりする班があった。

・ 透明半球をかぶせて観察する場合,どうしても一人では観察しにくい。

・ 近くで見るので,三日月状の金星を観察するとき,目のピントが合いにくい。

・ 地球のどの位置から見える範囲なのかを,勘違いしていた生徒がいた。

今回の実践では,上記のような,成果と課題が出てきた。今回は,モデルであるが,実際に観察できたことによって理解が深まった生徒がいた反面,金星がどの位置(太陽の左右)でも観察できたので,明けの明星やよいの明星の区別がしっかりできていない面も見られた。

今後は,これらのことを解決していくための手立てが必要だと考える。

 

鹿屋市立高隈中学校 堀田 豪