モンキーハンティング


【目的】
 放物運動は,鉛直方向の等加速度直線運動と水平方向の等速直線運動の組合せで表現できることを理解させる。
【教科・単元】
 物理T
【原理・工夫した点】
 傾けたホワイトボード上で,大きな衝突球を用いてゆっくりとしたモンキーハンティングを行うための簡単な装置を作製した。
 写真のように,斜めに設置したホワイトボード上で,下図のように可動部分を勢いよく押し出せば,Aの球は自由落下,Bの球は斜方投射の運動をする。
画像
【準備】
 ホワイトボード(回転するもの),ホワイトボードペン(2本),発泡ポリスチレン板(厚さ50mm),発泡ポリスチレン球(直径90mm),木材の棒(長さ1.8m),キャスター(6個),ネジ(24個),マグネットシート,両面テープ
【組立て】
@ 発射用部品
 写真の赤で囲った部分を,下の図のように発泡ポリスチレンと木材の棒で作る。
  画像
A ガイド
 写真の青で囲った部分を作製する。
 写真のような配置になればよいので,サイズは適当で,3個作る。球を支えるガイドは少し短めにしてある。
 また,ホワイトボードに取り付けられるように一面にマグネットシートを両面テープで張る。
  画像
B 発射球
  画像
 直径90mm程度の発泡ポリスチレンの球を半球に切り,下にキャスターを3個付ける。
 直径のサイズは手に入ったキャスターのサイズに合えばいいので厳密でなくてよい。
 真中にはペンを刺すための穴を開ける。ホワイトボードの上を転がすと,非常によく滑る。
 キャスターは発泡ポリスチレンにネジで留めてもすぐに取れてしまうので,円形に切った圧縮発泡ポリスチレンの板を両面テープで張り付け,その上からネジ留めする。
 また,中心の穴からペンの先を出して,球を滑らせると軌跡が描ける。
【実験】
@ ホワイトボードを横から見て45度の角度になるようにガムテープで固定し,写真のように部品を配置してから手で思い切りよく押し出すと,左の球は自由落下,右の球は斜方投射になる。
 実際は斜面上で動いているので重力加速度がsinθ倍になる。
 左の球はガイドと発射用の部品で挟むだけであるが,発泡ポリスチレンは摩擦係数が大きいので保持される。
画像
 押し出す勢いが弱いと,衝突前に衝突球がボードから外れるので注意が必要である。
 また,キャスターの車の向きと球が動き出す方向をそろえておくと確実に衝突する。
画像
 写真左は,球にペンを刺して同じ実験をしたもので,きれいな放物線が描かれている。
 投射角度は自由に変えられる。写真右のような水平投射での衝突実験も可能である。
 画像【動画】monkey.mpg(454KB)
【留意点】
・ 円形車輪式のキャスターより球形車輪式のキャスターが入手可能ならば,そちらを使用したほうがよい。
・ 相対速度,加速度座標系(非慣性系)の教材としても利用可能である。


                (鹿児島県立出水高等学校 永迫 昌毅)