銀樹の成長速度によるイオン化傾向比較 【目的】 イオン化傾向の小さい金属の水溶液にイオン化傾向の大きい金属を入れると,イオン化傾向の大きい金属は溶け出しイオン化傾向の小さい金属が析出する(金属樹)ことから,金属のイオン化傾向の大小について理解させる。 【教科・単元】 化学T 【準備】 0.1mol/L硝酸銀水溶液,ホールスライドガラス,カバーガラス,駒込ピペット,光学顕微鏡,薄い銅板(希硫酸に5分ほど浸し,洗浄する),マグネシウムリボン(希硫酸に10秒ほど浸し,洗浄する),薄い鉄板(炭酸飲料などが入っているスチール缶を金ばさみで切り,濃硫酸に浸し皮膜を取り除いたものを使用するとよい) 【工夫した点】 ・ 光学顕微鏡を利用することにより,金属樹の成長を数秒で観察できる。そこで,ホールスライドガラス上に置いた様々な金属に硝酸銀水溶液をかけ,銀樹の成長の違いを観察することにより,それぞれの金属のイオン化傾向の大小を見分けることができる。 ・ スライドガラス上の金属にカバーガラスを掛け,光学顕微鏡で観察するためには,金属は薄い板状のものがよいので,鉄は炭酸飲料の容器として使用されているスチール缶を用いた。 ・ スライドガラス上で行う観察実験なので,使用する硝酸銀水溶液も0.2mL程度で十分であり実験後の廃液が出ない。 【手順】 @ 銅板を小さく切り(5mm×5mm),ホールスライドガラスに載せ,カバーガラスを掛ける。 A 銅板の表面が見えるように,あらかじめピントを合わせておく。 B 駒込ピペットでカバーガラスの横から0.1mol/L硝酸銀水溶液を注ぎ,光学顕微鏡で100倍に拡大して観察する。 C マグネシウム,鉄についても同様に実験を行い,銀樹の成長の速さを比べる。 ![]() 【結果】 各金属に硝酸銀水溶液を浸したときの,銀樹の成長の速さは下のとおりである。銀樹の成長の速さから各金属のイオン化傾向の大小が理解できる。 ・ 銅を用いたとき ![]() ![]() ・ 鉄を用いたとき ![]() ・ マグネシウムを用いたとき ![]() 【留意点】 ・ カバーガラスは,スライドガラスのホールよりややずらして掛けると硝酸銀を注ぎやすい。 ・ 硝酸銀水溶液を注いだらすぐに銀樹が成長を始めるので,あらかじめ顕微鏡のピントを合わせておく。 ・ スチール缶を切り取るときは,手を切らないように注意する。 ・ 重金属を含む水溶液の取扱いに注意し,目や皮膚に付いたら多量の水で洗い流す。特に,硝酸銀は皮膚を腐食するので取扱いに注意する。 | |