ニワトリ手羽先の組織観察


【目的】
 ニワトリの手羽先を用いて,筋組織(骨格筋)や結合組織(軟骨,硬骨)の観察を行う。
【単元】
 生物T「細胞」
【工夫した点】
 事前に煮沸することで,その後の処理がしやすくなる。しかも,煮沸によって組織観察に悪影響を及ぼすことはない。煮沸しなくても支障はないが,煮沸した方が皮や筋肉などを取りやすくなる。
【準備】
 手羽先(写真1),0.1%メチレンブルー水溶液,酢酸オルセイン,ペトリ皿,解剖ばさみ,ピンセット,柄付き針,カミソリ刃
※ 事前処理
 熱湯で数分間煮沸をする(写真2)。その後,皮と筋肉を取り除いて,骨を包丁で3〜4cmに切断する。骨は食酢を入れたビーカーに2〜3日浸して,石灰質を溶かす(写真3)。関節部と筋肉は冷凍しておくとよい。
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【手順】
@ 少量の骨格筋をスライドガラスに載せて,メチレンブルー液を加えて染色し,柄付き針でほぐす。カバーガラスを掛けて,ろ紙で挟んで軽く押しつぶし,顕微鏡で観察する。筋細胞にある横紋を観察し,スケッチする。(写真4)
A 骨の関節部にある軟骨をカミソリ刃で薄く切って,水を入れたペトリ皿に浸す。最も薄く切れた切片をスライドガラスに載せて,酢酸オルセイン(又はメチレンブルー液)で染色後,カバーガラスを掛けて検鏡し,スケッチする。(写真5,6)
B 食酢に浸して軟らかくなった硬骨を水洗いし,カミソリ刃で薄く切って,水を入れたペトリ皿に浸す。最も薄く切れた切片をスライドガラスに載せて酢酸オルセイン(又はメチレンブルー液)で染色後,カバーガラスを掛けて検鏡し,スケッチする。(写真7)
【結果】
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【留意点】
・ 材料の手羽先は,先端部だけのスープ用が安価でよい。
・ 骨格筋の横紋を観察するには,「絞り」と「ピント」を微調節することが重要である。
・ 軟骨や硬骨は切片が厚いと,うまく観察できない。その場合には,新しく切片を作り直す。最も重要なポイントは,「極めて薄く組織を切ること」である。
・ 硬骨を食酢に長く浸すと軟らかくなりすぎて,かえって切りにくくなるので注意する。
・ 一人の生徒がすべての組織の切片を作製・観察し,スケッチまですることは,50分の授業時間内では不可能に近い。グループ内の生徒一人一人に別々の組織の切片を作製させるなどの,配慮が必要である。