減数分裂の観察


【目的】
 減数分裂の観察には,ムラサキツユクサのつぼみやバッタの精巣を用いた方法が知られている。しかし,ムラサキツユクサのつぼみの時期は5月〜6月と短いことや,成熟期前の雄のバッタを入手するのが困難であるなどの問題がある。そこで,花期が4月〜10月と長く,比較的管理しやすいブライダルベールのつぼみを用いて実験を行い,減数分裂を観察する。
【単元】
 生物T「生殖と発生」
【工夫した点】
 材料のブライダルベール(ツユクサ科,学名Gibasis geniculata,英名Tahitian bridal veil)は,園芸店で一鉢数百円で販売されている。県内では問題なく越冬し,茎を水に挿すと発根して殖やすことができるので,栽培も容易である。
【準備】
 ブライダルベール(写真1),酢酸オルセイン
【手順】
@ 直径1mm以下の,小さなつぼみを採取する。
A 先の細いピンセットを挟んだ状態でつぼみに突き刺し,開くようにすることで,葯(やく)をまとめて採取できる。葯(やく)は非常に小さいため,肉眼で確認しながら作業するのは困難であるが,開いたつぼみの中味をスライドガラスにこすりつけると,葯(やく)がつぶれる(写真2)。
B 酢酸オルセインを1〜2滴加え,10分間染色した後カバーガラスを掛ける(写真3)。スライドガラスの下から数秒間ライターの火であぶるとよく染まる。
C 光学顕微鏡を用い,低倍率から観察する(写真4〜8)。
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【結果】
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【留意点】
・ 大きさの違うつぼみから取り出した葯(やく)を同時につぶすと,同時にいろいろな分裂段階の細胞を観察できる。
・ 採取してすぐに観察するのであれば,特に固定・解離の必要はない。
・ 減数分裂の観察は体細胞分裂の観察よりも難易度が高く,生徒は分裂期の細胞を観察できない場合が多い。生徒実験を行う際は,市販の永久プレパラートも準備した方がよい。


                 (鹿児島県立出水高等学校 久保紘史郎)