マウス赤血球を用いた浸透圧実験


【単元】
 生物T「細胞」
【工夫した点】
 浸透圧の学習において,動物細胞では赤血球を材料とした解説が,教科書にはよく記載されている。しかし,ヒトの血液を扱うには困難な点が多く,実際に実験が行われることはほとんどない。そこで,学校で飼育している実験用マウスを用いて,浸透圧による赤血球の変化を観察することにした。
【準備】
 マウス,カミソリ刃,食塩水(0.9%,10%)
【手順】
@ 0.9%食塩水(生理食塩水)と10%食塩水をつくり,5mLずつビーカーにとる。食塩水の量が多いと血液が薄くなりすぎるため,観察しにくくなる。
A 二人一組でペアをつくり,一人がマウスの胴体を押さえながら尻尾を引っ張り,動きを制する。もう一人がカミソリ刃で尻尾の一部分を傷つけて,出血させる。
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B 十分に出血したら,スポイトで血液を吸い取り,食塩水の中に入れる。このとき食塩水を一度スポイトの中に吸い上げて,ビーカーに戻すようにするとよい。
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C スライドガラスに血液の入った食塩水を1滴とり,カバーガラスをかけて検鏡する。
D 赤血球の形に注意しながら観察させる(400〜600倍)。
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 0.9%食塩水に入れた血液。生理食塩水であるため,赤血球に変化は見られない。
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 10%食塩水に入れた血液。高張液であるため,赤血球は収縮している。
【今後の課題】
 特殊な薬品を用いなくても,50分の授業時間内で十分観察できた。しかし,血球が小さいために,生徒はピント調節に苦労していた。蒸留水を用いた実験も行ってみたが,血球を観察することができず,溶血したものと思われるが破片なども観察できなかった。


                 (鹿児島県立市来農芸高等学校 久保紘史郎)