単元名

 

6年 植物のからだのはたらき

 観察,実験

 のねらい

 

 日光と葉のでんぷんのできかたの関係に興味をもち,日光を当てた葉と当てない葉を比較してでんぷんがあるかどうかを調べ,植物の葉に日光が当たるとでんぷんができると考えることができる。

1 観察,実験の実際

  日光を当てた葉と当てない葉の2種類を用意し,ヨウ素液を使って葉にでんぷんがあるかどうかを調べさせ,日光と葉にあるでんぷんの関係について理解させる(インゲンマメ使用)。

 (教科書に掲載されている実験方法)

 【アルコール脱色法】

  @ 葉を湯につけてやわらかくする。

  A 7080℃の湯で湯せんして,温めたエタノールに葉を入れて,葉の緑色を溶かし出す。

  B 葉を湯に入れて洗う。

  C 葉を薄いヨウ素液に浸し,反応を調べる。

 【たたき染め法】

  @ ろ紙の上に葉をのせて,2つ折りにする。

  A たたき台にはさんで,葉の形が映るまでたたく。

  B 葉をろ紙からはがし,ろ紙に残っている葉を取り除く。

  C 7080℃の湯につけて,葉の緑色をそっと洗い流す。

  ※ 水で薄めた漂白剤を使用すると葉の緑色がよく取れる。

  D ろ紙にヨウ素液をつけて,反応を調べる。

 【すりつぶし法】

  @ 水を加えながら,葉をすりつぶす。

  A すりつぶした葉を布に包んで,時計皿に汁をしぼり出す。

  B しぼり出した汁に水を加えてかき混ぜ,静かに置いておく。

  C 10分間ぐらいたったら緑色の汁を吸い取る。

  D 残った液体が乾いたら,時計皿の周りの白い部分にヨウ素液をつけて,反応を調べる。

 

2 問題点

  基本的にどの方法でもでんぷんの有無を確認することができるが,以下のような問題点も出てくる。

【アルコール脱色法】

  葉全体が反応するが,反応後の色がヨウ素液の色に近い色になるので,ヨウ素液に染まったと考える児童が出てしまう。また,ヨウ素液の濃度の調節が難しい。

【たたき染め法】

  ろ紙を湯で洗うときにでんぷんが,ろ紙全体に広がってしまい,葉のなかった部分にもでんぷん反応が出てしまうときがある。

【すりつぶし法】

  でんぷんを沈殿させるのに時間がかかってしまう。また,葉緑体を取り除く操作が難しい。

 

 

3 観察,実験のポイント(新たに開発した観察,実験)

  でんぷんとヨウ素液が反応する瞬間をはっきりと確認できる実験はないかと考え,教科書に

 ある「アルコール脱色法」と「すりつぶし法」を融合させた実験を実践した。

【実験方法】

@       葉を湯につけてやわらかくする。   A 7080℃の湯で,湯せんしてあたためたエタ

ノールに葉を入れて,葉の緑色を溶かし出す。

                   

 

 

 

 

 

 

 


 B 葉を湯に入れて洗う。        C おろし金で葉を細かくし,水を加えてすりつ

                      ぶす。

 

 

 

 

 

 

 


 D すりつぶした葉を布に包んで時計皿  E しぼり出した液体にヨウ素液をたらして反応

  に汁をしぼり出す。           を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 


【結果】

  右の写真のように,日光を当てた葉と当てない葉のでんぷんの有無をはっきりと確認するこ

 とができた。でんぷんが含まれる液体(日光を当てた葉の抽

出液)は,ヨウ素液を入れると瞬間的に青紫色になり,反応

の瞬間も確認することができた。

  この実験結果により,児童は,日光と葉にできるでんぷ

 んの関係をとらえることができた。

 

【ポイント】

 ○ エタノールは液体が緑色になると葉を脱色する能力が落ちるので,ある程度の量は準備しておいた方がよい。

 ○ 日光を当てる葉と当てない葉は,実験を行う前に日なたと日かげの条件下に置いておく。

 

(田代町立田代小学校 教諭 今村 朋幸)