単元名 |
台風と天気の変化 |
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単元のねらい |
○ 台風について資料や経験を基に考えることができるようにする。 ○ 台風の進路や天気の変化をとらえることができるようにする。 ○ 台風による災害を知り,台風に対する備えの必要性と情報活用の大切さを考えることができるようにする。 |
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学習活動 (児童の素朴な見方や考え方) |
教師の支援・対応 (納得・実感させるために必要な観察,実験) |
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1 台風の気象衛星の雲写真,ミニ台風を見せ,台風の動き方を確認する。 ○ 反時計回りに回っている。 ○ 渦を巻いているね。
2 台風の風の強さはどのあたりが強いのか,また,台風が北上するにつれて弱くなるのはなぜか予想する。 ○ 中心付近が強いんじゃないか。 ○ 暴風域ということばもあるよ。
3 めあての確認をする。
4 実験を行う。 (1) たらいの中の水を抜きながら,発砲スチロールを3カ所に投入する。(実験1)
(2) こまを台風に見立てて,回転を弱める(台風の勢力を弱める)原因を探る。(実験2) ・ うわ,回転する速さが全然違う。 ・ 台風の目って,これと同じことがおこっているんだ。 ・ 穴の大きさが大きい方が回転も速いよ。 ・ こまが台風とどう関係し ているんだろう。 ・ 指で触ると回転が弱くなるよ。 ・ ノートみたいな壁だったらどうかな。
5 実験結果の確認をする。 ○ たらいに入れた発砲スチロールは,外縁部はそれほど速くは動かないが,中心部に近づくにつれて速く回るようになる。 ○ 中心部分は,吸い出されてしまって,殆ど流れていない。 ○ 穴が大きい方が渦も大きく,回転のスピードも速い。 ○ こまの回転を弱めるためには,何かで触れればいいんだ。
7 本時のまとめをする。
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1 パソコンで気象衛星の雲写真の動画を見せて,反時計回りに動いていることを確認させる。
○ 身近な経験等を基にいろいろな意見が出てくるようにする。 ・ 台風が近づくにつれて,風が強くなった経験 ・ 台風接近により,自宅待機になった経験 など 2 前時の学習や台風の風力に着目させ,めあてを立てさせる。 ・ 台風の風がいつ頃強くなってくるのか経験をもとに考えさせる。 ・ 西日本と東日本での台風の大きさの違いに着目させる。
3 本時のめあてでどのようなことを調べたらよいのかをしっかりと押さえる。 ・ 台風の風が強く吹く部分はどこだろうか。 ・ 北上するにつれて弱くなっていくのは,何故だろうか。
4 各グループに道具を準備し,事前に実験の方法を指導しておく。 (1) たらいの穴の大きさを変えて,台風の目の大きさと風力の関係にも着目させる。(実験1) ・ 発砲スチロールの投入場所をしっかりと押さえる。 (2) こまを台風に見立てて,勢力が削がれる原因を考えさせる。(実験2)
(写真@)(写真A) (写真B)(写真C) (ミニ台風に発砲スチロールを入れる実験)写真@A 台風は,中心部に近づくにつれて風力が増し,その威力も強くなることが視覚的に理解できる。また,台風の中心部(台風の目)は風が上に吸い上げられているので,殆ど風が吹いていないことも理解できる。 (こまの回転を阻害する実験)写真BC 台風が西日本から,東日本・北日本へ移動するにつれて勢力が弱まる理由の一つを,物理的な阻害の面から確認する。
5 実験の結果を児童のことばで書かせる。 ○ 実験の結果,得られた情報を記録させるようにし,気づいたことや分かったこととは別に書かせるようにする。
○ 穴の大きさと渦の回転の速さの違いに気づいていない児童への個別指導を行う。
○ こまの実験で,どうしたときに回転が弱まったのか,それが台風とどう関係があるのかを考えさせる。
7 まとめを行い,台風に対する心構えについて考えさせる。また,台風情報等が頻繁に流れる理由を考える材料にし(台風の場所で風向きや強さを予想することができるから),次時(台風の威力の凄まじさ)への意欲付けを行う。
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【成果と課題】 1 成果 ア たらいを使った実験で,台風は外側から中心部に向かって風が吹くということを視覚的に理解させることができた。 イ 台風の強風域や暴風域の違いを視覚的にとらえ,理解させることができた。 ウ 台風の目が微風状態になるのはなぜかを考えさせることができた。 エ 台風が日本列島を北上するにつれて,勢力が弱くなっていく原因の一つを理解させる ことができた。 オ デジタルコンテンツだけでなく,実際にミニ台風の実験を行うことにより,台風につ いての関心を高め,日常生活に生かそうとする態度を養うことができた。 【課題】 ア ミニ台風では,コリオリの力の影響を受けにくく,台風は中心に向かって反時計回りに風が吹くということを完全に再現できなかったので,かえって混乱を招いてしまった面があった。 イ 台風が弱まる主原因は,温かい水蒸気の補給ができなくなることだが,それをどう体感させればよいのか,自分が考えつかなかった。今回のこまの実験は,あくまでもサブ的な要因なので,無理にしなくてもよかったのではないかという気がする。
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(いちき串木野市立生福小学校 教諭 藤本 貴大) |
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