「水溶液」の液性とは


酸性,中性,アルカリ性とは
・ 溶液中の水素イオン濃度[H]によって決まる。[H]>1×10−7のときを酸性,[H]=1×10−7のときを中性,[H]<1×10−7のときをアルカリ性と言う。
・ −log[H]で表された値をpHと言い,pH<7が酸性,pH=7が中性,pH>7がアルカリ性である。
・ 酸とは,水に溶けたとき水素イオン(H)を放出するもの,アルカリとは,水に溶けたとき水酸化物イオン(OH)を放出するものである。塩化水素(HCl)の水溶液である塩酸中では,HClがHを放出するので酸性を示す。塩酸のように,水に溶かしたときもっているHのほとんどをHとして放出するものを強酸と言う。
1 酸性物質,アルカリ性物質の基本性質
<酸性>
・ 酸味がある。
・ 多くの金属と反応して水素ガスを発生する。
<アルカリ性>
・ 一般に苦みがある。
・ タンパク質を溶かす。触ると,皮膚のタンパク質を溶かし,ぬるぬるする。
※ 酸性物質とアルカリ性の物質を反応させると,中和(水素イオンと水酸化物イオンが化合して水ができる反応)が起こり,水と塩ができる。このとき,生じた塩が加水分解すると,中和後の水溶液は酸性またはアルカリ性を示すので,単に中和したからといって中性になるとは限らない。
  HCl + NaOH  →  NaCl  +  H2
  塩酸    水酸化ナトリウム 塩化ナトリウム  水
                 (食塩)
※ 北海道にある工場では,海水を電気分解し塩酸と水酸化ナトリウムを製造している。つまり,中和反応の逆の反応を起こしているわけである。
2 身の回りの物質の液性(pH)
            pH               pH
  塩酸        0.0      雨水       6.5
  胃液        1.0      牛乳       6.6
  レモン汁      2.3      純水       7.0
  酢         2.9       血液      7.4
  ワイン       3.5      重曹溶液     8.4
  トマトジュース   4.1      ホウ酸溶液    9.2
  コーヒー(ブラック)5.0      歯磨き粉     9.9
  酸性雨       5.6      石灰水      11.0
  尿         6.0      家庭用アンモニア 11.9
  水酸化ナトリウム  14.0
3 液性を調べる試験紙
<リトマス紙>
・ リトマスゴケの色素を利用して作る。
・ 酸性側で赤色になり,アルカリ性側で青色になる。
<BTB溶液>
・ 中性は緑色,酸性側で黄色,アルカリ性側で青色となる。
<フェノールフタレイン>
・ アルカリ性側で赤色透明になり,中性から酸性では無色透明になる。
<pH試験紙(万能試験紙)>
・ pHにより色が変わり,色見本と比較し液性を決定する。
※ いろいろな試験紙を使い,どの試験紙を使っても,同じ仲間は同じ色反応を示すことを確認し,酸性,中性,アルカリ性に分けることの良さを実感させる。
※ 赤キャベツ溶液は,液性によっていろいろな色になり楽しく学習できる。
@ 赤キャベツを千切りにする。
A 赤キャベツをエタノールに浸ける。
B 赤キャベツの色がなくなったら,ろ過し水溶液を取り出す。
※ 長期保存の場合は,少し薄い塩酸を加え酸性側にしておき,冷蔵庫で保存する。
※ 赤キャベツ試験紙を作る場合は,液を濃くし,それをろ紙に染み込ませては乾燥させるという作業を繰り返す。
※この方法で,いろいろな花の色素などを使い試験紙を作ることができる。
4 水のpHの不思議
・純水はpH7.0である。しかしながら,雨水,川の水などのpHを測定すると,7.0を示すことは少ない。それは,空気中の二酸化炭素が溶け酸性を示したり,地表の石灰岩を溶かしてアルカリ性になったりするからである。
5 酸性食品とアルカリ性食品
・ 先ほどの表でも分かるように,レモン汁やワインが酸性を示している。ところが,二つはいずれもアルカリ性食品である。
・ 酸性食品かアルカリ性食品はそのものの酸性度で計るのではなく,体内で分解された後の液性で示している。したがって,体内での分解後を計る必要があるが,基本的には,体内で酸化させているわけであるから,食品を燃やし,灰を作り,それに水を加えたときの液性で調べることができる。