気象現象とは


気象現象とは
・ 大気の状態および雨,風,雷などの大気中の諸現象。
・ 空気中にどれだけ水蒸気が存在することができるかということが大きくかかわっている。
・ 気象現象とは,主に大気中における水の状態変化と移動である。(雷などの電気的事象もある。)
・ 太陽の熱エネルギーによって行われる巨大な水の蒸留作用でもある。
1 天気の変化
 天気は基本的には,太陽の光エネルギーが地表に届くか,その間に雲が存在するか,あるいは雨雲が来て,雨が降っているかということである。したがって,雲が存在するか調べると分かる。
 日本は偏西風帯にあり,上空では西から東へ風が吹いている。それに乗って雲が移動するため,天気も西から東へと変化する。したがって,雨を降らせる雲の存在が分かると天気予報ができる。その意味で,気象衛星の画像は天気予報に有効である。同時にアメダス(AMeDAS:地域気象観測システム)のデータがあると確実に分かる。しかしながら,その雲が大きくなるのか,消えていくのかについては他の情報が必要になる。
2 飽和水蒸気量と露点
 水溶液に物質を溶かしたときと同じように,気温が上がると空気中に存在できる水蒸気量(飽和水蒸気量)が増える。逆にある量の水蒸気が存在しているとき気温が低下すると,存在しきれなくなった分が水滴として凝結しはじめる。この時の温度を露点と呼ぶ。
 例えば,1m3の空気は,0℃では最大で4.8g,37℃では39gの水蒸気を含むことができる。したがって,37℃での飽和水蒸気量は39gであり,39gの水蒸気が存在するならば,露点は37℃である。
3 湿度
 湿度とは,飽和水蒸気量に対して,今どれだけの水蒸気が空気中に含まれているかを重量パーセントで示したものである。例えば,前述のデータを利用すると,温度37℃において20gの水蒸気があるとすると20÷39×100=51.3%となる。また,この空気が0℃まで下がると20−4.8=15.2gの水滴が出てくる。
 朝方,気温が下がって凝結したものが露であり,温度が低くて(基本的には0℃以下),氷になるのが霜である。
3 雲の発生メカニズム
 雲は空気が冷却され,飽和水蒸気量を超えたときに空気中に凝結した水滴あるいは氷の粒である。雲ができるには,水滴が凝結するための核となる塵などが必要である。
 雲ができる場合には,次のようなものがある。
@ 湿った空気が山に当たり,上昇する場合
  この場合,高度が上がって気圧が低くなり,空気が断熱膨張して冷却される。
 ※ 断熱膨張…熱を加えることなく,体積が大きくなると温度が下がる。膨張のために熱が使われると考えるとよい。
A 寒気団と暖気団がぶつかり,暖気団が上に上がって起きる場合
 ・ 気団と気団がぶつかっているところを前線と呼ぶ。
 ・ 暖気が寒気の上に乗り上げるように進むものは温暖前線と呼ばれる。このときの雨はあまり激しくはならない。
 ・ 寒気が暖気に潜り込む形で進むものは寒冷前線と呼ばれる。この場合は,急に暖気がもち上げられ,雷を伴った激しい雨となることが多い。
 ・ 梅雨のときの梅雨前線は,日本の上空で暖気団と寒気団がぶつかり合ってどちらにも動かない状態となる。これを停滞前線と呼ぶ。秋にも同じような状態になることがあり,秋雨前線と呼ばれる。
B 地表が太陽熱で温められ,上昇気流が起きる場合
 ・ 地表は海面より温まりやすく冷えやすい。(比熱が小さい。)そこで,昼に激しく地表が熱せられると温度が上がり,上昇気流が起きる。
C 海水温が高く,海面からさかんに水蒸気が蒸発している場合
 ・ 水蒸気がさかんに蒸発し上昇すると,水蒸気は飽和して凝結する。この際に,熱が放出され空気の温度が上がり,上昇気流が加速される。
 ・ 熱帯でできる低気圧(熱帯低気圧)のうち,最大風速が17.2m/秒以上になっているものを西太平洋では「台風」と呼ぶ。同様に西大西洋では「ハリケーン」,インド洋では「サイクロン」と呼ぶ。
3 霧と雲
 ・ 霧は雲が地表に接地している部分であり,本質的には雲と同じである。
4 地球上における水の循環
 水は,太陽の熱で熱せられ,蒸発して水蒸気となる。それが飽和すると水滴又は氷の粒として凝結し,霧や雲となる。その粒が重力で落ちようとするところを上昇気流が支えて浮いているが,だんだんと粒が大きくなり重くなり落下したものが雨である。雨滴の直径は約0.1mm〜1mm程度であり,大きいものでは3mmのものもある。
 雨の落下速度は,直径0.2mmの粒で秒速約0.7m,直径3mmの粒では秒速約3mにもなる。落下した水は,再び太陽の熱で蒸発させられるわけで,地表や海と大気の間を循環している。
5 観天望気(天気ことわざ)
 昔から人々はいろいろな方法で天気の予想をしてきた。それが観天望気である。
@ 星が出ると明日は晴れ
 ・ 星が出るということは,空に雲がないということである。そのことから晴れであると考えることができる。星を見ていたのではなく雲の存在を見ていたことになる。
A ツバメが低く飛ぶと雨
 ・ ツバメは小さな昆虫などを餌にしている。空気中の水蒸気が増えると昆虫は高く飛ばなくなり,ツバメも昆虫を捕らえるために低く飛ぶことになるといわれている。
B 猫がひげを濡らすと晴れ
 ・ 空気が乾燥していると猫のひげが乾燥しやすくなり,ひげを濡らすということで,湿度と関係しているようである。
C 月に傘がかかると雨
 ・ 高い空に薄い雲があると,月のまわりに光の輪(傘)ができる。絹雲など高層の雲は天気の崩れる前兆である。
D 夕焼けは晴れ
 ・ 夕方,西の方向に雲があると,太陽光が遮られて夕焼けが起きない。つまり,夕焼けは西の方向に雲がないことを示している。


日本一の話
 昔,志布志の山の中に一人の男が住んでいた。この男一人暮らしで,風呂にも入らず洋服を着替えることもない。ところがこの男,天気予想にかけては日本一。
 鷹狩りの好きな島津の殿様は,鷹狩りに出ては雨が降ることに困っており,天気予想のできる人を求めていた。殿様は,志布志の男のことを聞き,城に呼んだ。その時,志布志の人々は,殿様のところに行くので,きれいな着物を用意し風呂にも入れた。
 男は,殿様から日本一という名をもらって城に行ったが,いっこうに天気が読めない。ふんどしが新品のためなのである。昔,男のふんどしは汗や汚れをいっぱい吸っており,空気が乾燥するとごわごわし,湿ってくると柔らかくなるので天気の予想ができていたということである。まったくといってよいほど天気の予想が当たらなくなった男。すぐに志布志に返されてしまった。