胎盤とへその緒とは 胎盤とへその緒とは 胎盤とは,母体内の胎児を成長させる働きを行う器官である。へその緒(臍帯)を通して胎児とつながっている。 1 胎盤の役目 へその緒は臍帯動脈と臍帯静脈の二つの血管からできており,毛細血管の束のようになっている。胎盤を通して,酸素や栄養素を輸送することができる。 その結果,母体の血液中の酸素や栄養素が,胎盤を通して胎児の体に運ばれる。 同時に,胎児の血液から二酸化炭素や不要物が,母体の血液に受け渡される。 胎盤では,母体と胎児の血液が混ざることはない。 しかしながら,今まで自然界になかったような薬などの物質は,通してしまう場合がある。 たとえば,腕に障害のあるサリドマイド児は,母親が妊娠中にサリドマイドという睡眠薬(風邪薬にも入っていた)を服用したことから起きている。 また,水俣湾では,有機水銀に汚染された魚介類を母親が食べたために,胎児性水俣病(先天性水俣病)が起きている。 この場合,母親は健康であるが,胎児に有機水銀が濃縮されて発病したという,痛ましい事例がある。 水俣病では,水銀中毒で死産だった例や,脳に障害のある子が生まれた例もある。 2 臍帯血の新しい利用法 白血病などの病気の治療法として,現在「骨髄移植」という方法がとられている。骨髄移植は,患者と提供者の白血球の型(HLA)が一致しなければならない。 しかし,血液型などと違って,白血球の型がすべて一致する確率は血縁者では4分の1と高率となりますが,非血縁者では数千分の1といわれ,適合する骨髄をもつ提供者を捜すのは,極めて難しい。また,骨髄移植は,提供者(ドナー)に全身麻酔が必要なことなど課題も多く,普及が進んでいない。 ところが,臍帯血には造血細胞が多く含まれていることが分かり,その移植で血液の病気が治せることが分かってきました。臍帯血移植の利点は, @ 造血細胞の増殖能力が高く,異常反応が少ない A 白血球の型が一部不適合でも移植可能 B 出産数の1割採取で,すべての白血病児が救える などが挙げられている。 |