磁石とは


磁石とは何か
・ 原子の回りを回る電子の運動によって生じる磁力によるものである。
 (電子のスピンとは電子の持つ自由度のことで,上向きと下向きがある。軌道上の運動とは異なる。)
・ 磁界中に置いたとき同じ向きに強く磁化されるものを強磁性体といい,弱く磁化されるものを常磁性体,反対向きに磁化されるものを反磁性体と呼ぶ。強磁性体には鉄,コバルト,ニッケルがある。
1 磁石になりやすい物質は
・ 電子の運動で原子が磁石になるが,原子の磁石の向きがそろっていないときには,磁界がうち消されてしまう。ところが,鉄,ニッケル,コバルトなどの鉄属の金属は原子の磁石の向きをある程度,そろえることができ強く磁化される。
・ また,ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,プロメチウム,サマリウムなどの希土類を鉄などの強磁性体と化合させると,原子の持つ磁気が、結晶の中の特定の方向に強く束縛される結果,強力な磁石を作ることができる。特に,ネオジウム磁石は強力な磁石である。
・ 磁石になりやすい物質を磁界に入れると磁性を帯びる。そして,磁界から出しても磁性が残る。(残留磁気という)何回も繰り返すことで強い磁石をつくることができる。(永久磁石)
・ 鉄の場合,軟鉄は磁界から出すと磁力がなくなりやすい。したがって,電磁石の鉄心に使うと便利である。
・ 鋼鉄は,磁界から出しても磁力を保持するので永久磁石になる。
・ 軟鉄にするには,高温に加熱した後,ゆっくりと冷やすとよい。
・ 鋼鉄は,高温に加熱し,油や水で急激に冷やすとできる。
2 磁石の磁性
・ 磁石を自由にして置くと南北を指して静止する。それは地球自体が磁石になっているからである。その時,北を指して止まる側をN極,南を指して止まる側をS極という(地球内部の外殻が液体で,地球の自転により電流が流れていると考えられている)。
・ 同極は斥け合い,異極は引き合う。
・ 磁石の磁性は,電子の動きで原子自体が持っているので,永久磁石の場合,どこで磁石を切っても磁力の向きも変わらず同じように磁力をもつ。
3 電磁石とは
・ 導線の中を電子が動くと磁界ができる。電子が動くことで磁界が起きるという点で,永久磁石と同じである。磁界の強さは電流に比例するので便利である。