Q35 もののとけかた
 溶解度の違いについての問題をもたせるために「シュリーレン現象」を取り入れるのですが,児童は,「このもやもやは何だろう」「どうしてもやもやができるのか」などの問題をつくり,溶解度についての学習になりません。どうしたらいいですか。

 確かに食塩が溶ける様子を観察させると児童はそのような問題をつくります。ところが,食塩とホウ酸(ミョウバン)のシュリーレン現象を同時に提示すると児童は,もやもやの大きさの違いに目を向け,「どうしてもやもやの量が違うのだろう」という問題をもちます。したがって,比較する二つの事象を提示することが教師の考える方向に児童の学習を導く上で有効であると考えます。
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 Q36 もののとけかた

 温度による溶け方の違いを調べようとすると,同じ温度に維持することがうまくできずに困っています。何か良い方法はありませんか。

 一定の温度に保つということはとても難しい問題ですが,いくらか維持できないとこの実験をうまく行うことはできません。基本的には,熱を加えることで温度が上昇するわけですが,温度上昇のスピードを緩やかにすることが有効です。そのためには多くの水を加熱するという方法が有効でしょう。水の量が多くなると温度を上げるために必要な熱量が増えるからです。
 その場合,水に溶かす物質の量も増えてしまいます。その量は少なくしたいというのであれば,温浴という方法があります。たくさんの水を入れた容器の中に溶解度実験を行うビーカーを入れて行うと温度変化を少なくしながら,溶かす物の量を少なめに実験を行うことができます。
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 Q37 もののとけかた

 溶解の前後で全体の重さは変わらないという実験を行いますがどうしても溶かした後の重さが軽くなってしまいます。どのようにしたらうまくいきますか。

 基本的には,溶かす際に水が飛び散ることや溶かすために使ったガラス棒などに水が付いてしまい,その分の重さがなくなってしまうことが多いです。したがって,慎重にかき混ぜるとともに,溶かす前と後の重さの中にガラス棒なども加えておき,水滴が付いたガラス棒ごと重さを量ることです。
 なお,最近は密閉できる容器がいっぱいあります。その容器に溶かす物を入れ,ふたをしてよく振って溶かし,その後の重さを量るという方法をとると,外に飛び散る物はなくうまく実験を行うことができます。
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 Q38 もののとけかた

 溶けた後の食塩はどうなったかについて調べる実験で,虫眼鏡や顕微鏡で調べる実験やろ過の実験を行い,「なくなった」という結果を導き出し,学習のまとめで間違ったと意欲を失う児童が出るのですが,やっぱり,虫眼鏡や顕微鏡の実験をさせるべきですか。

 児童の考えを生かした観察,実験を行うとこういう事態がよく起きます。児童に学習を任せた場合,最後まで児童の学びを認め励ましてあげることは大切なことです。この学習の場合には,最後のまとめで,「食塩は水に溶けても水の中にある」というまとめを行った後,「では,水の中にあるのに顕微鏡で見えなかったのはなぜ」というように問い返すのです。そうすることで,単に水の中にあるのではなく,ものすごく小さくなってあるという理解まで高めることができます。そういった深い理解をもたらした実験が虫眼鏡や顕微鏡,ろ過の実験であり,どの子の追求も生かすことになります。
 基本的な流し方として,きまり発見の後に,「そのようなきまりがあるのになぜこんな結果が出たのだろう」と問い掛けることで,すべての児童の追求を生かすとともにより深い理解とすることができます。