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 単元のねらい

 ・ てこを傾ける働きや,てこが釣り合うときの規則性についての見方や考え方をもつようにする。
 ・ てこに加える力の位置や大きさの条件を変えて,てこの働きや仕組みについて計画的に追究する能力を育てる。
 ・ 日常生活に使われている,てこのきまりを利用した道具を見直す態度を育てることができる。
 ねらいを達成させるための活動

 ・ てこやてこの働きを利用した道具を使い,てこの仕組みと働きを調べる。
 ・ 力を加える位置や大きさを変えて,てこが釣り合う条件を調べる。
 学習問題づくりのポイント

 ・ てこを使って大きな物を動かそうという意欲を高める。
 ・ 物の重さを比べ,どちらが重いかはっきりさせたいという願いが生まれるようにする。
 具体的な活動

 <事前に>
 @ 同じ重さ(500g)の砂袋,砂利袋,火山灰の袋を用意する。
 A 子どもたちの考えを生かして追究させるために,角材,ゴム,ひも,支点に使う物,バネなどを用意する。
 B グループ学習を進めるためのグループをつくっておく。
 <授業では>
  @ 三つの砂袋をグループに提示し,手で重さ比べをさせる。
  A 手で比べた後,どんな道具があればよいか尋ね,必要な物を与える。
   ※ 台ばかりなどは,要求があれば出してもかまわない。初めは台ばかりを使って調べても,子どもは多様な方法で調べることを楽しむ。また,台ばかりのデータは他の方法の確認用として役に立つ。
  B いろいろな方法で重さ比べをさせる。
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 予想される問題

 ・ てんびんで重さ比べをするにはどうすればよいのだろう。
 ・ 同じ重さなのに違っているという結果が出るのはどうしてだろう。
 ・ 違う重さでも釣り合わせることはできるのか。    など
てこのすばらしさを実感させる実験
 ☆ 簡単には持ち上げることのできないおもりを持ち上げさせること。
   その際に,けがをしないように注意する。
  ※ おもりとしては,20kg入りの温泉水の入れ物に水を入れて使う。あるいは,ポリタンクに水を入れて使う。その際に,2個を合わせてひも等でくくることが望ましい。
 ☆ てこの学習を数量化して考えさせる手だて
  ・ 数量化を図らせるために,数量化に目が向くような道具を準備する。
  ・ 2リットル入りのペットボトル。(水を入れておく。)
  ・ 簡易体重計
  ・ ブロック  など
てこのきまりを見付けさせる実験
 ・ 実用てこでは,棒の重さが影響し,きまりを見いだすことはできない。そこで,棒の重さに気付かせる必要がある。
 ☆ てこの学習の際に,棒の重さに気付かせる方法
  ・ 実用てこを使って,てこのきまりを探そうとすると,棒の重さが問題となる。しかしながら児童は棒の重さに気付かず,そのままできまりを見いだそうとして混乱する。
   そこで,おもりを置かなくても,棒の重さで物が持ち上げられてしまう状況をつくり,棒の重さで持ち上がってしまうことに気付かせることが必要である。そのためには,重い棒を用意することが必要である。(杉の間伐材が有効)
 ☆ 棒の重さを考えなくてもよいようにする方法
  ・ 棒の重さを考えないようにする方法としては,棒を水平に釣り合わせてしまう方法が良い。
  ※ 棒の重心の取り方
   ・ 棒の両端に鉛筆を置き,鉛筆の間隔を狭めていき,一点に集めると重心になる。これは,重心の位置が変わることにより,棒と鉛筆の摩擦力が変わることによって起きる。
 ☆ てこの支点の在り方
  ・ てこは,支点をどのようにするかで,バランスの取り方や釣り合わせ方に違いが出てくる。図2のように,支点より重心が上にあるときにはなかなか釣り合わせることが難しい。したがって,小学生の実験では,図1の釣り下げ型が望ましい。
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  ・ なお,釣り下げる際の糸の結び方は,下図のようにすると重心を取るために移動ができ,便利である。しかし,一度支点が見付かったら,セロハンテープで張り,動かさないようにしないといけない。
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研究:てんびんの棒の長さはどれくらいが適当か
 ☆ 実験1 水平に釣り合っている棒の一方に100mgの分銅を載せたときの棒の傾きを調べる。
      ・ 支点を変えて調べる。
      ・ 支点からの位置を変えて調べる。
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  ※ 支点としては,たこ糸の方が敏感である。
  ※ さおの長さは長い方がよい。
☆ 棒の長さを変えて調べる。
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 ※ 棒の長さが長くなると棒自体の重さが重くなり,棒の先に載せないと微量では反応しにくいことが分かる。
 ※ 棒の長さとしては,45cm程度が良いといえる。
   棒の重さ: 45cm…6.6g 90cm…16.3g
☆ てんびんの精度と釣り合わせるために必要な時間
  棒の長さ45cmのてんびんに粘土玉を下げて釣り合わせ,その時の左右の粘土玉の重さと,釣り合わせるのに要した時間を測定する。
  (支点を,糸とクリップと変えて調べる)
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 ※ 支点がたこ糸などのように敏感な場合には,釣り合わせるために時間がかかりすぎる。
 ※ 学習に使うてんびんでは,クリップを支点にしても問題はない。