<参考資料> 自由研究の意義をどうとらえるか


1 自由研究の意義
 ・ 新しい学力観に立つ教育では,意欲と能力の形成が叫ばれている。そのことから,自由研究の意義をとらえる。
 画像
(別の視点から見ると)
 ・ 最近,児童や教師の理科離れが盛んに言われる。原因はいろいろあると考えるが,下記のようなことが要因ではないか。
 ・ 直接自然に接していないため,多様な問題が生まれない。
 ・ 直接自然に接していないため,多面的な見方ができない。
 ・ 情報化社会の進展で,児童が謎をつかむ前に各種メディアが情報を流してしまう。
 ・ 児童が,一面的な情報によって,理解したと勘違いしている。
 ・ 科学は,次から次に謎をつくっていくのに,あるいは,次々にきまりは作り替えられていくのに,そのことを児童は,あるいは教師は知らない。
 画像
2 理科学習と遊びの関係は
 画像
 ・ 児童は,単に遊んでいるのではない。
 ・ 遊びながら考えている。
 さらに
 ・ 遊びには,問題解決的な部分(科学)とそれを生かした製作(技術,技能)が組み合わされるものが多い。
 <例>ビー玉遊び
 @ ●をA〇にどのように当てるとよいか考えて行う。
 画像
 A 行動し,結果を得てからまた考える。さらには,新たな考えを生み出し,実行する。こういった,一連の問題解決の活動を瞬時に繰り返し行うことが遊びである。
3 子どもが自由研究をしないわけは
 子どもは,遊びの中で問題解決的な活動を行っているはずなのに,なぜ,子どもが自由研究をしようとしないのかについて具体的に考える。
ア 自由研究を,特別のもの,難しいものと考えている
 画像
 ・ 遊びを発展させる。もっと楽しく遊ぶにはと考えて試行する。
 ・ ファーブルになった気持ちで,じっと動物の動きを見つめる。
  → 情報を手に入れたときに問題が生まれる。
イ 自由研究の喜びを味わった経験がない
 画像
 ・ 指導計画に自由研究を位置付けていく。
  そして,どんな事実でもつかめていたら,それを認める。
 ・ その成功感が次への大きな力になる。
 ・ 児童の獲得した事実を関係付け,意味付ける力があるか  が重要である。
ウ 謎がない,問題がつかめない
 ・ 親や教師が子どもの問いを制止してはいないか。
 ○ 問いを止める発言
  「今のあなたには分からないのだから。難しいからあとでね。」
 ○ 問いを深める発言
  「どうしてなのかな。不思議だね。調べてみようか。」
 ・ 高度情報化社会であり,いろいろな情報が子どもに与えられ,子どもは分かったつもりでいる。
 ・ 視聴覚情報と本物の情報との区別がつかない。
エ しないのでなく,できない
 ・ 自由研究の進め方の指導を学習の中に位置付け,明確な問題をつくることと見通しをもたせる。
 ・ 単元の学習の後に,発展的に自由研究を取り入れる。
 <対策>
 ・ 夏休みの自由研究相談日を設定する。
 ・ 必要な用具の貸出しを行う。
 <留意事項>
 ・ 子どもの素朴概念(子どもなりの見方や考え方)を生かすこと。
 ・ 子どもの科学を大切にすること。
 ・ 子どもの生の言葉で作品をまとめさせること。
 問題づくりのために

 次のような働き掛けで,子どもと問題づくりを行ったらいいのではないかと考える。
 画像
 画像
 画像
 画像
  画像
 ※ 研究成果の交換や共有が,一人一人の子どもに新たな問題をつくり出してくれる。