事故防止

 

指導計画などの検討

○ 校内の迅速な連携対応,事故防止のため,年間の指導計画の中に観察や実験,野外観察の目的や内容などを明確にしておく。

○ 生徒のその段階での観察,実験の技能の習熟度を掌握し,無理のないような観察,実験を選ぶ。

○ 学習の目標や内容に照らして効果的で,安全性の高い観察,実験の方法を選ぶ。

 

生徒の実態の把握,連絡網の整備

○ 日頃から学級担任や養護教諭などと生徒情報の交換を密に行い,授業において配慮すべき生徒については,その実態を把握する。

○ 応急処置や医師との連絡,他の生徒に対する指導などに関する対応マニュアルを整備する。

○ 保健室,救急病院,関係諸機関,校長及び教職員などの連絡網と連絡の方法を,教職員が見やすい場所に掲示するなどして,全教職員に周知しておく。特に,保護者への連絡体制を確立しておく。

 

予備実験と危険要素の検討

○ 観察,実験の安全を確保するために,必ず予備実験を行う。

・ 使用する薬品の濃度や量の検討

・ すべてのグループが同時に実験を行うことを想定した危険要素の検討

・ 薬品の性質,特に爆発性,引火性,毒性などの危険性の把握

 

点検と安全指導

○ 無駄な時間の浪費,怪我や事故を防ぐため,使用頻度の高いガラス器具などにひび割れがないかなど,日頃から観察・実験器具の整備点検を心掛ける。

○ 観察,実験において事故を防止するため,基本操作や正しい器具の使い方などに習熟させるとともに,誤った操作や使い方をしたときの危険性について認識させておく。

・ アルコールランプやガスバーナーなどの操作について,それらの機能及びアルコールやガスの特性などを十分に理解した上で確実で合理的な実験器具の操作に習熟させるよう指導する。

・ 事故例とその原因などを把握しておく。

・ 学習訓練を徹底し,観察,実験の基本的な態度を身に付けさせる。

@ 観察,実験活動中にふざけて事故を起こすことのないよう教師の指示に従う。

A 机上は整頓して操作を行う。

B 終了時には,使用した器具類に薬品が残っていないようにきれいに洗い,元の場所へ返却し,最後に手を洗う。

C 余った薬品を返却する。

D 試験管やビーカーを割ってしまったときには教師に報告し,ガラスの破片などをきれいに片付ける。 など

 

理科室内の環境整備

○ 生徒の使い易い場所に薬品や機器を配置しそれを周知しておく。

○ 救急箱を用意したり,防火対策として消火器や水を入れたバケツを用意したりしておく。

○ 換気を行う。特に,アンモニアや硫化水素などを発生させる実験では十分な換気をする。

 

観察や実験のときの服装と保護眼鏡の着用

○ 器具に袖口を引っかけて薬品を倒す,衣服に火が着いて火傷をするなどの事故から身を守るために,余分な飾りがなく機能的な服装をさせる。

○ なるべく露出部分が少なく,緊急の場合の脱衣が容易であり引火しにくい素材の服が望ましい。

○ 前ボタンは必ず留め,長い髪は後ろで束ねて縛っておくなどの配慮が必要である。

○ 飛散した水溶液や破砕した岩石片などが目に入る可能性のある観察,実験では,保護眼鏡を着用させる。

 

応急処置と対応

過去に起こった事故や予想される事故を検討し応急処置について日頃から考えておく。

○ 薬品が眼に入った場合は流水で洗眼をした後直ちに医師の手当を受けさせる。

○ 火傷をしたときは患部を直ちに冷水で冷やし早急に専門の病院へ行かせる。

○ 観察,実験の際に生徒が怪我をした場合,応急処置をし医師の手当を受けさせると同時に怪我をした生徒の保護者へ連絡する。

○ 平素から校医などと十分に連絡をとり,緊急の時にどのように対処すればよいのか
について具体的に決めておく。

 

野外観察における留意点

○ 崖崩れや落石などの心配のない安全な場所であることを確認する。

○ 斜面や水辺での転倒や転落,虫刺されや草木によるかぶれ,交通事故などに注意する。

○ 観察場所の安全性の確認や観察場所に至るルートの確認という点から事前の実地踏査は重要である。

○ 河川などの場合は,開発等の人為的な活動や風雨などの気象現象により状況が大きく変わることを想定しておく。

○ 観察当日の天気や気候にも注意して不慮の事故の発生を防ぐ。

○ 緊急事態の発生に備えて連絡先,避難場所,病院なども調べておく。

○ 河原や雑木林などを歩く場合,はきものは滑らないものでしっかりとした靴がよい。

○ 服装は,虫刺されやかぶれ,紫外線などの危険から身を守るために,できるだけ露出部分の少ないものが適している。

○ 日ざしの強い季節には,帽子をかぶるなどが必要である。

○ 岩石の採集で岩石ハンマーを扱う時には,手袋や保護眼鏡を着用させる。