科学技術と日常生活や社会との関連を重視するためには,どのような指導が大切か。

 

まずは,次に示すように,人類が科学技術の進歩によって利便性,安全性を手に入れ,日常生活や社会をより豊かなものに発展させるとともに,様々な環境問題の解決を図ってきたことを,我々自身が正しく認識することが大切である。

・ 動力や機械の発達は大規模な作業を効率よく行ったり,多くの人やものを同時に運んだりすることが可能となった。

・ 様々な素材の進歩によって,従来の素材のもつ短所が補われ,さらに新しい機能をもった製品が生み出された。

・ 医療技術の進歩は怪我や病気の不安から多くの人を守り,健康で安全な生活を支えている。

・ 防災や事故防止に関する技術の進歩は,自然災害や事故などに対する様々な備えを可能とし,安全で安心な生活を保障している。

・ 情報技術の進歩は大量の情報を正確かつ瞬時に処理することを可能とし,作業の効率化が図られている。また,情報通信ネットワークの普及によって多くの人が情報を取り出したり,交換したりすることが可能になり,離れた場所におけるコミュニケーションが活発に行われるようになった。

・ 有害な物質そのものを生じさせない技術,有害な物質に変わる代替物質,ゴミ処理や再利用の方法などが開発されている。

・ エネルギーを有効に利用する技術開発が進みつつある。

 

その上で,様々な原理や法則が科学技術を支えていることに触れ,それらが日常生活や社会に深くかかわりをもっていることを認識させるため,次のような工夫をする。

○ ものづくりでは,科学的な原理が製品に応用されていることを実感させる。

○ 第1分野「(7) 科学技術と人間」で,エネルギーの有効利用の重要性,科学技術の発展が私たちの生活を豊かにしたことを扱う。特に,第1分野,第2分野の内容(7)に共通の「ウ() 自然環境の保全と科学技術の利用」では,第1分野と第2分野で学んだことを相互に関連付け,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,科学的に考察させ,持続可能な社会をつくっていくことが重要であることを認識させる。

○ 理科で学んだことが様々な職業やその後の学習と関連していることや,理科の学習で養う科学的な見方や考え方が職業にも生かされることに触れるため,授業の中で自然の事物・現象とかかわりのある様々な職業に言及したり,科学技術に関係する職業に従事する人の話を聴かせたりする。