生命の尊重と自然環境の保全

 

生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度が育成されるようにする。

 

特に,生命や自然環境を扱う第2分野の学習において,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を育成することは重要である。

 

【生命の尊重】

 

<ねらい>

「生命」については,生物の飼育・栽培,生物や生命現象についての観察,実験などを通して,生物のつくりと働きの精妙さを認識させ,かけがえのない生命の尊さを感じさせる。このような体験を通して生命に対する畏敬の念や生命を尊重する態度を培う。

 

<基本的な立場>

次に示すような今日的課題にも触れながら,日頃から生命に関心をもたせ,生命を尊重する態度がより確かなものになるように指導する。

○ 科学技術の進歩により,遺伝子組換え技術やDNA増幅技術などが,作物の品種改良,医療,犯罪捜査などに活用され始めている。

○ 食物の安全性の確保,生命倫理,個人情報の保護などの観点から,これからも継続的な議論が必要なものもある。

 

<学習指導に当たっての配慮事項>

○ 野外で動物や植物を採集する場合には,必要最小限にとどめる。

○ 動物を飼育する場合には,その動物に適した生活環境を整え,健康状態の変化などに十分に留意する。

○ 動物を解剖する場合には,事前にその意義を十分に説明し,こうした機会を大切にしながら真摯に多くのことを学習しようとする態度を育てる。

○ 麻酔を施すなどして動物に苦痛を与えない方法をとり,生徒の心情にも配慮し,事後には決して粗末に扱うことがないようにする。

 

【自然環境の保全】

 

<ねらい>

自然や科学技術と人間とのかかわりについて科学的な根拠に基づき考察することを通して,自然環境の保全の重要性を認識させることはもとより,それに実際に寄与する態度を育てる。

 

<基本的な立場>

今後永続的に人間が地球で様々な生物と共存していくため,次の視点から,自然と人間の生活とのかかわりを正しく認識させる。

○ 「自然環境の保全」について世界的な議論が活発に行われ,その実践に向けて我が国の果たすべき役割に大きな期待が寄せられている。

○ 地球の温暖化,砂漠化,大気や水質の汚染,オゾン層の破壊,熱帯雨林の減少,野生生物の種の減少などに関する課題がある。

 

<学習指導に当たっての配慮事項>

実際に自然に接し,自然に対する豊かな感受性を身に付けさせ,自然及び自然と人間とのかかわりについて,次の視点から総合的な見方を養う。

○ 生物とそれを取り巻く自然について,地球全体の在り方なども考えながら,自然環境が一定のつり合いを保って成り立っていることを理解させる。

○ 地球上の生物種はそれぞれ長い時間の中での進化を経て現在に生きているのであり,生命の連続性を断ち切るようなことがあるとその種を永遠に取り戻すことができなくなることなど,自然環境の保全は,生命尊重の観点からも大切であることを理解させる。

○ 特に,第2分野「(7) 自然と人間」においては,身近な自然環境の調査などを通して自然環境と人間のかかわりにより,自然界のつり合いがどのような影響を受けるかを考えさせ,理解させる。