2 第1分野の内容
(1) 身近な物理現象
(1) 身近な物理現象
身近な事物・現象についての観察,実験を通して,光や音の規則性,力の性質について理解させるとともに,これらの事物・現象を日常生活や社会と関連付けて科学的にみる見方や考え方を養う。
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小学校では,光に関する内容として,第3学年で「光の性質」,力に関する内容として,第3学年で「物と重さ」,「風やゴムの働き」,第4学年で「空気と水の性質」,第6学年で「てこの規則性」について学習している。
ここでは,光や音,力など日常生活と関連した身近な事物・現象に関する観察,実験を行い,結果を分析して解釈し,それらの規則性などを見いださせるとともに,身近な物理現象に対する生徒の興味・関心を高め,日常生活や社会で見られる身近な現象やこれらの活用と関連付けて,科学的にみる見方や考え方を養うことが主なねらいである。その際,レポートの作成や発表を適宜行わせ,思考力,表現力などを育成する。
なお,身近な物理現象の学習に当たっては,例えば,簡単なカメラや楽器などのものづくりを取り入れ,原理や仕組みの理解を深めさせ,興味・関心を高めさせることが考えられる。
ア 光と音
(ア) 光の反射・屈折
光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。
(イ) 凸レンズの働き
凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の大きさの関係を見いだすこと。
(ウ) 音の性質
音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだすこと。
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(内容の取扱い)
ア アの(ア)については,全反射も扱うこと。また,光の屈折で入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。
イ アの(イ)については,光源の位置と像の位置,像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの(ウ)については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さを扱うこと。
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ここでは,光の反射や屈折,凸レンズの働き,音の性質に関して課題を明確にして実験を行い,結果を分析して解釈し,規則性を見いださせ,日常生活や社会と関連付けて理解させることが主なねらいである。
(ア) 光の反射・屈折について
小学校第3学年では,光は集めたり反射させたりできることについて学習している。
ここでは,光の進み方に関する身近な現象と関連させながら,光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの幾何光学的な規則性を見いださせることがねらいである。
学習の導入に当たっては,例えば,身近な自然事象として虹,日常生活や社会で活用されているものとして光ファイバーケーブルなどを示し,生徒の興味・関心を高めるようにすることが大切である。
反射については,例えば,光を鏡で反射させる実験を行い,光の進む道筋を記録させ,入射角と反射角が等しいことを見いださせるとともに,鏡に映る像を光の反射と関係付けて理解させる。
屈折については,例えば,台形ガラスや半円形ガラス,プリズムなどを適宜用いて実験を行い,光が空気中からガラスや水に進むときは,入射角よりも屈折角が小さくなるように進み,入射角を変化させるにつれて屈折角が変化することを見いださせる。また,ガラスや水から空気中に光が進むときは,光が上の場合と逆の経路をたどり入射角よりも屈折角が大きくなるように進むこと,さらに入射角を大きくしていくと全反射が起こることを見いださせる。このように光の屈折については,入射角と屈折角の定性的な大小関係に触れる。
なお,光源としてレーザー光を用いる場合は,光源を直接目で見ないよう安全に留意させる。
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