令和8年度 前期始業式

最終更新日 2026年04月15日

 皆さん、おはようございます。
 
始業式 (1)令和8年度の始業式にあたり、お話をします。
 まずは皆さん、新2年生、新3年生への進級、おめでとうございます。今日というこの日に、一つ年を重ねて上級生になるということ、そして新しい環境になり、新しい出会いがあるということは、君たちにとって本当に大切で、喜ばしいことです。
 今日の始業式では、「年を重ねることで、時を重ねることで得られるもの」についてお話ししたいと思います。
 人が年を重ねる中で得ていく成長には、大きく二つの“かたち”があると私は思っています。
 一つは、自分の努力で「積み上げていく」タイプの成長のかたち。
 もう一つは、人との関わりの中で「深まっていく」タイプの成長のかたちです。

 まず、新しい知識が増えていくことであったり、できなかったことができるようになったり、挑戦できる範囲が広がっていったりすることなど、こうした成長は、もちろん周りの支えもありますが、何よりも皆さん自身が続けてきた努力の積み重ねによって形になります。自分自身が昨日より今日、今日より明日と、少しずつ前に進んでいく。その歩みが「積み上げていく」タイプの成長のかたちです。この主体は自分自身であり、誰かが代わりにこれを積み上げてくれるものではありません。

 一方で、「深まっていく」タイプの成長とは、人との関わりや経験の中で、自分の感じ方や考え方がよりよい方向へ変化していくタイプの成長のかたちです。
 ・同じ出来事でも、去年とは違う受け止め方ができるようになった。
 ・友だちや先生の言葉の意味が、わかるようになる、また、前よりも心に残るようになった。 
 ・以前よりも、自分の悔しさや喜びの理由を、少し冷静に見つめられるようになった。
 こうした「深まっていく」タイプの成長のかたちは、自分一人では得られず、他者との関わりの中で育つものです。
 若い皆さんにとって、この二つの成長の二つのタイプを意識しながら過ごすことは、皆さんがこれからの日々を歩むうえで、大きな力になっていくはずです。

 一方で、私たちくらいの年代になると、どうしても「年を重ねること」で“失ってしまうこと”に目が行きがちになってしまいます。
 自分の話で恐縮ですが、私は、この令和8年度はいよいよ還暦を迎える年になります。この年になると、まだまだ若いつもりでも、さすがに体力的な衰えを実感します。40代半ばで少し体力の衰えを感じて、各地のマラソン大会に出ることを目標としてランニングを趣味にしてその頃は指宿の菜の花マラソンとかにも走っていたんですけど、ここ2、3年でさらに急速に衰えているように思います。
 イギリスの絵本作家スーザン・バーレイさんの子ども向けの絵本に『わすれられないおくりもの』という作品があります。(読んだことある人、いますか?)その中で、昔のように走れなくなった年老いたアナグマが、夢の中で杖を持たずに軽々と走っている場面がありますが、実は私も、あのアナグマのように、若いころのように走っている夢を見ることがあります。
 健康や体力は、年を重ねればどうしても失われていくものです。少し悲しい現実です。けれど、その現実を受け止めているからこそ、私は最近、「残された自分の時間」をこれまで以上に大切に、愛おしく感じるようになりました。1日1日を、1時間1時間を、悔いなく過ごしたい。そう切実に思うようになりました。こうした思いは、若いころには持てなかった感覚です。年を重ねたからこそ生まれてきた気持ちなのだと思います。
 また、若いころには気づきませんでしたが、年を重ね、経験を積むことで、相手の背後にある事情を慮って接すること、自分とは違う価値観や正義感を理解し、それを踏まえて行動することの重要性をわかるようになってきました。「自分の内面によりよい変化が生まれること」を自分自身で感じることはある意味「面白い」体験です。
 そして、年をとると、自分より若い世代の人々と接する機会がどんどん多くなってきます。仕事柄、教え子たちが大人になり、立派に成長した姿を見たり、若い先生方が立派な先生になったりするのを見ると心の底から素直に「嬉しいなあ」と思います。こんな感覚も、若いころには持てなかったものです。これらを考えると素直に「年をとるのも悪くないなあ」とも思います。
 長い時間をかけて「積み上げていくこと」「深めていくこと」により人生が豊かになっていくことは、やはり素晴らしいものだと思います。
 皆さんにも、そうした素晴らしさに気づけるような、良い「積み上げ」と「深まり」してほしいと思います。

 さて、最後に話をまとめます。最後は、皆さんにお願いをします。「積み上げていくこと」という点からは、この一年、どうか「自分の成長を信じて努力を続けてほしい」ということです。うまくいかない日があってもいい。失敗してもいい。大切なのは、その経験を粘り強く次につなげようとする姿勢です。(先ほども言ったように)誰も他の人は積み上げてはくれません。自分自身の手で積み重ねることが必ず君たちを強く、大きくするはずです。

 そしてもう一つお願いです。
 明日から、新しい仲間である新入生もこの鶴丸高校に加わります。新入生にとって、皆さんは憧れであり、道しるべであり、頼れる先輩です。
 どうか、困っている後輩がいたら声をかけてあげてください。
 迷っている後輩がいたら、そっと背中を押してあげてください。
 彼らは、君たちもそうであったように、周りのどんな人の言葉より、鶴丸高校の先輩の言葉を大切に思うからです。
 鶴丸高校生としての誇りを持ち、君たちが築いてきた素晴らしい伝統を受け継いでいく1年生を、温かく迎え入れ、導いてほしいと思います。そのことは、君たちにしかできないことなのです。
 これは、皆さん自身の「人としての深まり」図るためにも必要なことです。

 本校もまた一人一人の「積み上げ」と「深まり」で素晴らしい学校になっていくはずです。
 令和8年度が、皆さんにとって、そして私たちの鶴丸高校にとって実りある素晴らしい1年になることを願って、令和8年度の始業式のお話とします。
 今年一年、ともに良い一年をつくっていきましょう。終わります。