Q17 体細胞分裂の観察
 体細胞分裂の観察で,プレパラートを作るのに時間がかかる上に,細胞が重なってしまったり,分裂像が見られなかったりすることが多いのですが,良い解決法はありませんか。
 A

 プレパラートを作る時間を短縮するには,細胞の固定,解離(塩酸処理)を簡便にする必要があります。加熱にガスバーナーを使わず,お湯で加熱するようにすれば,煩雑な操作を省けます。塩酸サフラニン液を使う方法は,固定・解離・染色を一度に行うことができるので,効率よく処理できます。
 細胞が重なってしまうのは,処理した根にカバーガラスを掛け,指で押しつぶす操作が不十分だからです。ろ紙をカバーガラスの上に載せ,親指で強く垂直に10秒間押す必要があります。
 染色液の種類によっても,得られる像の鮮明さが違ってきます。最も鮮明な像が得られるのは,DNAだけに反応するシッフ試薬です。中学校で一般に使われる,酢酸オルセイン溶液と酢酸カーミン溶液を比較すると,酢酸オルセイン溶液の方が鮮明です。
 分裂像を見るためには,タマネギの発根が始まって3〜4日後の根の先端,2〜3oを使うのが適当です。しかし,多少長くなってしまった根でも,先端部分を使えば観察可能です。午前中の方が,分裂像を多く見ることができますが,午後は分裂している細胞の数が減るだけで,分裂像を見ることは可能です。
 生きている植物を扱うわけですから,温度条件や個体差などが影響し,なかなか分裂像を見ることのできないこともあります。あらかじめ,分裂像をデジタルカメラで撮影しておくことも大切でしょう。
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