Q1 校内の植物観察 効果的に校内の植物観察をさせる方法はありませんか。 A 校内の植物観察をさせるときには,すべての生徒に図鑑をもたせて観察させたいものですが,図鑑の数が足りない,調べたい植物を図鑑で見付け出すのに時間がかかるなどの問題があります。 そこで,下の写真のように,あらかじめ校内の植物をデジタルカメラで撮影しておき,名前を付けてプリントアウトしたものをもたせて,観察させたらどうでしょう。 ![]() 校内の平面地図をもたせて,どの場所で見られたかを記録させるとよいでしょう。 また,次のようなワークシートを作り,ゲーム形式で観察に取り組ませることもできます。 ![]() 植物名を調べる方法として,インターネットを活用する方法があります。「植物検索図鑑」で検索して,使いやすいものを探しましょう。 Q2 花のつくり 花のつくりを観察させるときの留意点は何ですか。 A 花のつくりを観察させる主なねらいは,次のとおりです。 ○ 様々な花のつくりを調べさせて,いろいろな形や色の花があるけれども,基本的なつくりは共通であることを見いださせる。 ○ 花は,その中心からめしべ,おしべ,はなびら,がくという順に構成されていて,めしべの根元にある子房や胚珠が,果実や種子に変わっていくという事実から,花は植物の生殖器官であることを理解させる。 ![]() 校庭や花壇に咲いている花を教室に持ち込み,分解させて,基本的なつくりは同じであることに気付かせるとともに,花の形が似ていたり,花びらの数が同じであったりすることから,いくつかの仲間に分けられることにも気付かせたいものです。キク科の植物については,一般的に花と呼ばれている部分が小さな花の集合体なので,生徒に説明しておく必要があります。 花びらの色や形は,花粉を何が媒介するかによって,受粉するのに都合良くできています。このようなことにも触れて,植物が巧みに生きていることを実感させたいものです。 子房が果実に,胚珠が種子に変わっていくことを理解させるためには,マメ科の花を継続的に観察させるのが有効です。 カラスノエンドウやスズメノエンドウを継続観察させる方法がありますが,子房や胚珠,果実や種子が小さいのが難点です。4月ごろに開花するマメ科の植物に,ソラマメがあります。ソラマメは大きいので,子房や胚珠が変化していく様子を観察するのに適しています。 授業を実施する時期に合わせて開花,結実させるためには,収穫時期の遅い大粒の種子を付ける品種を選ぶとよいでしょう。大粒の品種には「人徳一寸」,「河内一寸」などの品種があります。種子をまく時期は10月上旬が一般的ですが,授業を実施する時期に開花,結実させるためには,やや遅らせる必要があります。鹿児島なら11月上旬でも大丈夫かもしれません。(昨年度,教育センターでは11月に種子をまいたのですが,4月中旬に結実しました。) 授業を実施する時期に合わせて開花させるのは,その年の気温や日照時間などに大きく左右されるので,かなり難しいものです。したがって,花が変化していく様子を,デジタルカメラなどで撮影しておき,資料として準備しておくことが必要です。 Q3 葉のつくりや茎のつくり 葉のつくりや茎のつくりを調べるときに,顕微鏡観察をするための切片を生徒がうまく作れません。簡単に薄い切片を作る方法はありませんか。 A ピスとかみそりを使ってよい切片を作る作業は,生徒にとってはかなり難しい作業です。簡易ミクロトームは高価で,グループ数分や生徒数分買いそろえるのは困難です。 生徒でも簡単に切片を作ることのできる方法として,T字形2枚刃カミソリや市販の簡易切片作製器を使う方法があります。 【詳しい説明へ】 Q4 気孔の観察 葉の表皮にある気孔の観察で,ツユクサ以外の植物の気孔を見る方法はありませんか。 A ツユクサ以外の植物の中でも,特に双子葉類の葉の表皮ははがしにくくなかなか観察できません。 透明な接着剤やマニキュアを使ったスンプ法,それを更に簡便にしたセロハンテープを使って表皮をはぎ取る方法があります。 【詳しい説明へ】 Q5 茎の断面の観察 茎の断面の観察では,トウモロコシやホウセンカを使うのが一般的なようですが,授業を実施する時期にそれらの植物がありません。どうすればよいでしょうか。 A この観察は,単子葉類と双子葉類の維管束の配置の違いを見いださせるために行います。維管束の配置の違いは,トウモロコシやホウセンカでなくても,十分観察できます。 ただし,切片の作りやすさを考えると,茎の柔らかい植物を観察に用いるのは避けた方がよいでしょう。また,イネ科の植物は茎の中心が空洞になっているものが多いので,これも避けた方がよいでしょう。 花屋に並んでいる花の茎や,野菜の茎や葉脈を観察させるのも面白いと思います。 【詳しい説明へ】 Q6 葉緑体でデンプンがつくられていることを確かめる実験 オオカナダモを使って,葉緑体でデンプンがつくられていることを確かめる実験で,葉緑体がヨウ素液で青紫色に染まりません。どうすればよいでしょうか。 A この実験では次のことに気を付けましょう。 ○ 実験に使う葉は,茎の先端にある若い葉を使う。 ○ 光を十分に当てておく。その際,水温が30℃以上にならないように気を付ける。 ○ ヨウ素液は,薄めて使う。 【詳しい説明へ】 オオカナダモは,元々日本には自生しておらず,輸入されたものが大繁殖してしまったものです。奄美大島などのオオカナダモが自生していない地域では,購入することになりますが,必ず水槽で育てましょう。 Q7 光合成によって酸素が発生することを確かめる実験 オオカナダモを使って,光合成によって酸素が発生することを確かめる実験で,酸素がなかなか集まりません。どうしたらよいですか。 A この実験では次のことに気を付けましょう ○ できるだけたくさんのオオカナダモを使う。 ○ オオカナダモの茎を切るときは,よく切れるカミソリで斜めに切り,切り口を上にして容器に立てて入れる。 ○ 水は,くみ置きにしておいた水と無糖の炭酸水を1:1で混ぜたものを使う。 ○ 水温が30℃以上にならないように気を付けながら,光を十分に当てる。太陽光が最もよい。 ![]() Q8 顕微鏡レンズのかび対策 顕微鏡のレンズにかびが生えないようにするには,どうすればよいですか。 A レンズにかびが生えないようにするには,乾燥した環境で保管する必要があります。大型のデシケーターに入れておくのが最もよいのですが,すべてのレンズを入れるのは無理です。そこで,プラスチック製密封容器を利用した防湿レンズケースにレンズを入れて,保管しましょう。 ![]() 防湿レンズケースは,プラスチックの衣装ケースに入れて保管します。衣装ケースの中には,押入用乾燥剤を必ず入れておきます。顕微鏡用のレンズは,1年に1回はクリーニングしましょう。 【詳しい説明へ】 |