公開日 2026年09月03日
SSH
生徒の「気づき」から学びを深化させる
錦江湾SSH探究プロジェクト
Program / Steps / Materials
錦江湾高校の「気づき」とは?
「気づき」とは一般的に今まで目を向けていなかったことや目が向かなかったことに目を向けることと言われています。「気づき」は視野を広げ、より主体的で実行力のある人間へと変えていくのではないかと考えました。SSHの第Ⅲ期までに培ってきた課題研究の知識・技能の育成のノウハウをより効果的に活用するため、「気づき」の力に目を向けました。
では、どうすれば生徒の「気づき」を引き出すことができるのか?
錦江湾高校では、主体的な活動のみが「気づき」を生み出すことができるのではないかと考えています。
主体性が「気づき」を生み出し、「気づき」は更なる主体性を生み出していきます。その循環で得られるものこそ学びを促進させるためには必要不可欠なものになるでしょう。
そこで、第Ⅳ期のプログラムでは「気づきの階段」を設定し、段階的に課題研究の各プロセスの学びを効果的に促進させるために、主体的な活動を通じて気づきに必要な資質能力を育成し、生徒の内発的な気づきを促します。また「気づきの階段」に沿った評価を実施することで、生徒がどの段階でつまずきがあるのかなどを把握することができ、生徒やプログラムにへの効果的なフィードバックが可能です。
NEW ミニ課題研究 概要
「ミニ課題研究」は、生徒が本格的な課題研究に取り組む前に、探究の一連の流れを実践的に学ぶための取組です。まず、校内を中心に身の回りを観察し、「なぜだろう」「調べてみたい」と感じたことや、研究課題につながりそうな「気づき」を写真に収めます。その写真を出発点として問いを立て、研究テーマの設定や研究計画の作成を行い、最終的に自分たちの研究計画を発表します。活動の各段階では、テーマ設定や情報収集、研究計画、データの扱い方、発表方法など、課題研究に必要な知識・技能を学ぶ「リテラシー講座」を実施します。生徒は講座で学んだ内容をすぐに自分たちの研究計画に取り入れ、実際の活動の中で活用していきます。このように「学ぶ → 実践する → さらに学ぶ →改善する」というサイクルを繰り返すことで、課題研究に必要な知識や技能を段階的に身に付けるとともに、身近な「気づき」を研究課題へと発展させる力を育成することを目的としています。

探究活動は、「身近な疑問」から始まります。生徒は校内や日常生活の中で気になったものを写真に撮り、「なぜ?」を見つけていきます。主体的な活動を通して「気づく力」を育成していきます。
- 身近な疑問から探究を始める
- 興味と関心を引き出す
自分が見つけた「なぜ?」について、信頼できる情報を収集・整理する方法を学びます。Google Scholarや図書館資料などを活用し、先行研究の調べ方や必要な情報を見極める力を身に付けることで、探究活動の土台となる情報活用能力を育成します。
- 信頼できる情報源を知る
- 先行研究を探す
- 情報の真偽を判断する
過去の研究事例を参考にしながら、「研究できるテーマ」と「研究しにくいテーマ」の違いについて考えます。また、身近な疑問を研究課題へ発展させる視点を学び、自分自身で研究テーマを設定する力を育成します。
- 具体性
- 実現可能性
- 検証可能性
- オリジナリティ
設定した研究テーマをどのように検証していくのかを考えます。実験・観察・アンケート・フィールドワークなど様々な調査方法の特徴を理解し、研究の目的に応じた計画を立てる力をワーク形式で身に付けます。
- 調査方法
- 実験方法
- 比較条件
- 変数(条件)
信頼性の高いデータを得るための記録方法やデータの整理・分析方法について学びます。また、グラフなどを用いて結果を分かりやすく表現する方法を理解し、根拠をもって考察する力を育成します。
- 適切なデータの集め方
- グラフ化
- 傾向を読み取る
- 根拠をもって考察する
研究成果を相手に分かりやすく伝えるために、ポスターやスライドの作成方法、発表の構成や話し方などについて学びます。情報を整理し、自分の考えを論理的に表現する力を育成します。
- スライド構成
- ポスター作成
- 話し方
- 質疑応答
写真撮影から始まり、各種リテラシー講座で学んできたことを生かした研究計画を発表します。また、生徒同士で意見交換を行うことで、多様な視点から自分の研究を見直す機会としています。
- 他者から学ぶ
- 新しい視点を得る
- 研究を改善する
STEP1 「多様な価値観への気づき」 概要+資料
人との関わりを生かした授業などから科学者としての素養や心構え、生き方に触れ、多くの価値観を知り、今後の研究活動の基礎を学んでいきます。各授業では、状況に応じてイメージマップ(下記参考)などのワークシートを用いて、ただ講演者の意見を聞くだけではなく、主体的にワークシート上へ講演の内容や自身の考えをまとめていくことで、 理解力と受容力の向上につなげ、多様な価値観への気づきへと導きます。
- 理解力:物事を正しく理解できるか
- 受容力:積極的に相手の価値観を受け入れることができるか
1・2年生を対象に錦江湾高校のSSHについて、課題研究の具体的な活動や実施事業の詳細、研究課題の見つけ方、研究発表についてなどこれからの課題研究の概要をオリエンテーションを通して学んでいきます。


企業や研究機関等で活躍されている方々を講師としてお招きし、実際の仕事や研究、開発の現場で生まれた「気づき」について講話をいただきます。さまざまな分野の考え方や価値観に触れることで、生徒が物事を多角的に捉える視点を身に付け、自らの興味・関心を広げながら、今後の課題研究や進路について考えるきっかけとすることを目的として実施してきました。なお、令和7年度からはSSH事業の内容を整理し、「シリーズ科学講座Ⅰ-2」を「研究者講義」に含める形で事業名称を統合しています。
| 年度 | 講師名 | 所属 |
|---|---|---|
| 令和6年度 | 教授 大富 潤 氏 | 鹿児島大学水産学部 |
| 令和5年度 | 中野 和彦 氏 | 日本水素ステーションネットワーク合同会社 |
| 令和4年度 | 主任研究員 柳田 理科雄 氏 | 株式会社空想科学研究所 |

大学の研究者や企業等で活躍されている方々を講師としてお招きし、研究の魅力やおもしろさ、研究に取り組む中で得られた「気づき」や発見などについて講話をいただきます。第一線で研究や開発に携わる方々の経験や考え方に直接触れることで、生徒が研究をより身近なものとして捉え、科学や研究に対する興味・関心を高めるとともに、自ら取り組む課題研究への動機づけにつなげることを目的としています。また、さまざまな分野で活躍する方々の価値観やものの見方・考え方に触れることで、生徒自身の視野を広げ、新たな「気づき」を得るきっかけとしています。なお、令和7年度からはSSH事業の内容を整理し、これまで実施してきた「シリーズ科学講座Ⅰ-2」を「研究者講義」に含める形で事業名称を統合し、取組を継続しています。
| 年度 | 講師名 | 所属 |
|---|---|---|
| 令和8年度 | 准教授 内山 仁 氏 | 鹿児島国際大学国際文化学科 |
| 令和4~7年度 | 代表取締役 宮原 隆和 氏 | 株式会社エルム |
桜島フェリーを貸し切り、錦江湾を周遊しながら、専門の講師による講話を実施しています。船上から実際の地形や景観を観察しながら、錦江湾の成り立ちや特徴、錦江湾に生息する生物の生態や環境との関わりについて理解を深めます。身近にある錦江湾を科学的にとらえ、実際の自然を観察しながら専門的な知識に触れることで、新たな「気づき」や疑問を生み出すことを大切にしています。また、地域の豊かな自然環境への理解を深めるとともに、その後の課題研究につながる興味・関心や、多角的な視点を育むことを目的としています。
| 年度 | 講師名 | 所属 |
|---|---|---|
| 令和7・8年度 | 学芸主事 若松 斉昭 氏 | 鹿児島県立博物館 |
| 令和6年度 | 名誉教授 大木 公彦 氏 | 鹿児島大学 |
| 令和4・5年度 | 教授 大富 潤 氏 | 鹿児島大学水産学部 |


本校の卒業生を講師としてお招きし、高校時代の経験や課題研究への取組、進学後の学び、現在の仕事や研究などについて講話をいただきます。卒業生自身の経験をもとに、課題や疑問を持つことの大切さや、自ら考え、試行錯誤しながら探究することが、その後の学びや仕事にどのようにつながっているのかを学びます。生徒にとって身近な先輩の経験や考え方に触れることで、探究することの意義や重要性を実感するとともに、自らの課題研究や将来の進路について考えるきっかけとすることを目的としています。
| 年度 | 講師名 | 所属 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 教頭 東郷 重法 氏 | 鹿児島純心女子高校 |
| 令和5年度 | 教授 大山 英明 氏 | 富山県立大学工学部 |
| 令和4・6年度 | 助教 藏滿 司夢 氏 | 筑波大学生命環境系 |
STEP2 「研究課題への気づき」 概要+資料
社会や自然科学との関わりを生かした授業の中で、幅広い視野の習得・見通しの立ったテーマ設定などのより良い研究課題の見つけ方を学んでいきます。またテーマ設定に必要な気づきの習慣化を目指し、各事業などで得られた気づきをライブラリーとして蓄積しています。(実際に生徒が蓄積してきた気づき)
生徒の気づきを各授業では、状況に応じてイメージマップ(下記参考)などのワークシートを用いて、観察した内容や自身の考え・仮説をまとめていくことで、 着眼力と思考力の向上につなげ、研究課題への気づきへと導きます。
- 着眼力:疑問や課題を見つけられるか
- 思考力:既存知識をもとに論理的に考えられるか
タブレットを持参し、校内で疑問に思うことを探します。日常生活ではなかなか気づかないことに目を向けることで、視野の拡大を目指しています。生徒が疑問に思ったことを写真に収め、それについてグループで仮説を立てる活動やコンテストを行うことで、幅広い視点を学びます。令和8年度から、昨年度までの評価を分析し、より効果的に活動が行えるように各種リテラシー講座(Step3)と連動する形式で実践型のパック講座をとして実施。※詳細は「パック形式の事業実践」の項目に掲載
新聞を用いることで、生徒の興味関心や視野を広げさせます。また信頼性の高い情報源に触れさせることで、情報へのリテラシーも身につきます。さらには他学級の生徒や外部に対して発表を行うことで、情報を客観的かつ広く伝える技術も学べます。
日頃授業で教科指導を行なっている各教科の職員が、興味関心のある話題や大学時代に行なっていた研究などを紹介し、研究課題の見つけ方や研究のおもしろさを共有します。身近な職員からのアドバイスで生徒は自身が今後行なっていく研究のイメージを想像していきます。
鹿児島大学で研修を行います。各自の研究課題(仮)に合った研究室で講習を受けることで、自身の研究の見通しを立てていきます。大学の機器を用いた実験や観察・統計処理は、生徒に刺激を与え、生徒の進路意識も上がっていきます。
研究テーマと進め方を検討し、方向性を具体化します。これから研究を進めるにあたって、研究テーマの検討、および研究の方針について議論し、方向性を決めることで、課題研究をより円滑に行えるようにします。
STEP3 「学びの必要性への気づき」概要+資料
課題解決を行なっていくためには、前提となる知識・技能の習得が欠かせません。リテラシー講座や大学等との連携学習などを通して、必要な資料の集め方やデータ処理の方法、魅力あるプレゼンの手法など、課題研究に必要な知識・技能を学びます。生徒自らが自身の研究に必要な知識・技能が何かを判断し、見通しを立てながら研究計画を考えさせることで、 洞察力と判断力を向上させ、学びの必要性への気づきへと導きます。
- 洞察力:本質的な問題点を特定できるか
- 判断力:必要な知識・技能を選び活用できるか
情報探査・テーマ設定・研究計画・統計・プレゼンテーションなど、探究に必要な基礎スキルを体系的に学びます。探究活動に必要な知識・技能の習得を目的とし、普段授業で学んでいることを意識させることで、知識・技能の習得の重要性を学びます。また職員研修としても位置付け、今まで探究活動に深く関わってこなかった職員も探究活動のノウハウを学ぶことができます。令和8年度からは、一部のリテラシー講座を写真コンテスト等の他事業と連動する形で実施しています。※詳細は「パック形式の事業実践」の項目に掲載
| 講座名 | 内容 |
|---|---|
| 情報探査 | 信頼できる情報を収集・整理する方法を学ぶ |
| テーマ設定 | 身近な疑問を研究課題へ発展させる視点を学ぶ |
| 研究計画 | 調査方法の特徴を理解し、研究の目的に応じた計画の立て方を学ぶ |
| 統計 | 信頼性の高いデータを得るための記録方法やデータの整理・分析方法について学ぶ |
| プレゼンテーション | 情報を整理し、自分の考えを論理的に表現する方法を学ぶ |
| 情報活用 | 基礎的な情報リテラシーの育成と、ファクトチェックの必要性を学ぶ |
| 論文作成 | 論文作成のルールやコツを学ぶ |
アカデミックイベントと同日に、自身の研究の状況をプレゼンし、大学の先生方と研究の方向性などを話し合うアドバイス会を行います。データの取り方や研究のストーリー性など、より専門的な内容を話し合うことができます。
STEP4 「やりがいへの気づき」概要+資料
自らの課題研究を振り返る機会や、各種研究発表大会での発表・指導助言などの機会を通して、研究を深めていくことへのやりがいや楽しさを知っていきます。STEP3までの活動を主体的に行い、その成果を発表する場を経験し、大きな自信や研究の楽しさに気づくことができれば、より今後の研究は深化していきます。「やらされる研究」より「やる研究」こそ持続的な学びの根幹を支えていると考えています。またグッジョブカード(ワークシート)を記入していくことで、各研究のおもしろかった点や良い点を主体的に探し、それらを記入したものを各研究班に配布することで、やりがいへの気づきのアプローチを行っています。これらの活動を通して 探究心と自己効力感 の向上につなげ、やりがいへの気づきへと導きます。
- 探究心:主体的に情報収集・分析を継続できるか
- 自己効力感:困難に挑み達成できると見通せるか
現在の研究状況を主に理数科の生徒はステージ発表、普通科の生徒はポスター発表の形でプレゼンを行います。大学の先生や運営指導委員の先生方から今後の研究の方向性についての意見や助言をいただくことができ、生徒は達成感とともに今後の見通しを立てることができます。
錦江湾高校での課題研究の集大成を発表する場になります。研究の成果を発表する姿に1年生の時の面影はなく、とても成長した姿を見ることができます。この場で実感したやりがいから、卒業後も科学に関係する進路へ進んでいく生徒は多いです。
STEP5 「自分自身への気づき」概要+資料
STEP1~4の事業を通して、課題研究の知識・技能だけではなく、やりがいや楽しさを知っていきます。今まで生徒が主体的に行ってきた活動から高校を卒業した後も「更に自身の研究を深めていきたい」「もっと科学を学んでいきたい」「高校で学んだことを今後も生かしていきたい」などの気持ちが生まれたらと思っています。それぞれの生徒に適した進路実現ができるように、各研究班を担当する職員も進路指導に深く関わっていくことで、 自分自身への気づきへと導きます。
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