小学部

公開日 2022年08月26日

目標と重点事項

1 学部目標

 児童の命や人権を守り,児童一人一人の発達段階や特性,教育的ニーズに応じた教育を行い,学ぶ楽しさやできることの喜びを経験することを通して,人や物への興味・関心を広げ,心豊かに生きる児童を育成する。

2 重点事項

(1) 確かな学びの実現

  •  学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程を編成し学部間,課程間,学年間の連携を図り,学びの積み上げを重視した教育に務める。
  •  児童一人一人の発達段階や特性に応じた教育的ニーズを把握し,個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づいた授業実践や評価改善を行う。
  •  自己選択,自己決定のできる場面を設定し,発声や言葉,サイン,表情等コミュニケーション力の基礎を育成する。
  •  児童が興味・関心をもって取り組めるように,個々の状態に応じた教材・教具を整え,授業実践を通じた評価・改善を行う。
  •  病棟や保護者との連携のもと,個々の障害の状態や病状,特性などを把握し,指導目標や内容を設定するとともに,学部との共通理解を深め,授業の充実を図る。(訪)

(2) 豊かな人間性の育成

  •  合同学習等,学年を越えた児童同士の学び合いの場を設定し,他者を意識する関りの充実や他者の気持ちに気付く場面を増やすことで,自分のことを意識し大切にする心や他者を思いやる心を育てる。
  •  SDGsの考え方を基に,児童の人権を尊重し,挨拶や決まりを守ることなど,基本的な生活習慣の定着を図る。
  •  交流及び共同学習での同学年や異年齢集団との関わりや,校外学習等の体験的な学習を通して,社会的な経験の拡大を図る。
  •  多様な経験を通して,人や物を意識し,自発的な発信を引き出す学習形態や指導体制を工夫する。(訪)

(3) 健康で安心・安全に学べる教育環境の整備

  •  登校時における病棟や保護者との情報交換や日々の健康観察を入念に行い,個々の体調や病状に応じた対応,指導内容を選定する。
  •  教室及び特別教室等の整備(設営・室温の調節・換気・安全)や衛生管理,教材・教具や校内周辺の整備に取り組む。
  •  医療的ケアへの理解を深め,看護師や養護教諭,保護者と連携し,安全かつ適切な医療的ケアの実施に努める。
  •  家庭との連携を密にし,個に応じた食習慣の定着を図る。
  •  病棟や保護者との連携のもと,児童の日々の体調に合わせた指導に努めるとともに,環境(換気・衛生・安全・音量・設営)などを整備する。(訪)

(4) 自立と社会参加

  •  長期的な視野で児童一人一人のキャリア発達の課題を明確にし,自己理解や役割を意識した指導に取り組み,他者と関わる力の育成に努める。
  •  ケース会などを通して関係機関との連携を密にし,進路指導係と連携して進路希望調査を行い,PTA等で情報提供を行う。
  •  病棟や保護者,学部と連携し,多くの人と関わる経験をもてるように,集団活動の機会を設定する。(訪)

3 基本的な考え方と目指す児童像

  •  キャリア教育の視点を踏まえ,児童が主体的に活動できる様々な体験を設定するなど,個々の課題に応じた指導内容を設定し実践していく。
  •  病棟,保護者及び前籍校や関係機関との連携を密にし,個々の状態の共通理解を図る。
  •  中学部・高等部と連携し,一貫性のある指導を行う。

3 基本的な考え方と目指す児童像

〔A・B課程〕

○ 基本的な考え方

 小学校に準ずる教育を行うことを基本としながら,個々の児童の学習状況や病気の状態,学習の制約に配慮し,児童が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送ることで,現在及び将来における自己実現を図る力を育てていきたい。

○ 目指す児童像

  •  自分でできることを自分でしようとする児童
  •  明るく心豊かにたくましく生きる児童
  •  時間や決まりを守り周囲の人と協力する児童
  •  自身の病気や障害について正しく知り,健康の維持・改善,自立に向けた生活を送ろうとする児童

〔C・D課程〕

○ 基本的な考え方

 周囲の人との関わり合いや学習の中で,児童の個性や発達を見据え,段階的に繰り返し指導することで児童が自己肯定感を高めながら生活できるようにしたい。また,児童が自己選択や自己決定をしながら学校生活を送ることで,問題を解決し,現在及び将来において,より豊かに生きていくための力を育てていきたい。

○ 目指す児童像

  •  意欲的に学習に取り組もうとする児童
  •  自分の気持ちや体調に気付きながら生活しようとする児童
  •  友達と仲良く関わろうとする児童

〔 E課程 〕

○ 基本的な考え方

 隣接する病院内でのベッドサイドや訪問教育棟,または,自宅において訪問教育を行う。訪問教育を行っている大部分の児童が常時医療的ケアを必要としており,健康状態が不安定で, 姿勢・移動・摂食・行動範囲等,日常生活全般にわたって制約が多く,生活経験を広げる機会をもつことが難しい。そこで,健康状態や体調など個々の状態に応じた様々な関わりを通して,外界からの刺激を受け止め,生活体験を広げ,明るく,より豊かに生きていくための力を育てていきたい。

○ 目指す生徒像

  •  快・不快の状況や体調の変化に関して,周囲に発信できる児童
  •  さまざまな刺激を受容し,自分なりのコミュニケーションで人や物と関わろうとする児童
  •  学習や様々な活動に意欲的に取り組み,楽しみや喜びを見付けることのできる児童