平成21年11月更新

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火山灰を観察しやすくする資料づくり


1 ねらい

 火山灰がどのような鉱物からできているかを調べるには,火山灰の中に入っている砂状の鉱物を抽出し,粒径をそろえると観察しやすくなります。

2 つくり方

(1) 試料の水洗い
 火山灰を水洗いし,粘土や木の根などを取り除く。
@  山盛り大さじ一杯分(約5g)の火山灰を蒸発皿に入れる。
A  水を蒸発皿の約半分まで入れ,指の先で軽く火山灰を押し洗いする。
B  水をさらに蒸発皿の8分目まで加え,全体をかき混ぜる。その後,5秒ほど静かに置き,鉱物が下に沈むまで待つ。
C  濁った泥水を捨てる。
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D  @〜Cの作業を濁りが無くなるまで繰り返す。
E  濁りが無くなったら,水を捨て,底にたまった鉱物を乾かす。
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(2) 試料のふるい分け
 わんがけした乾燥試料をふるいにかけ,粒径ごとに分ける。
@  ふるいの孔径(1.0o,0.5o,0.25o)の小さいものから順に重ね,乾燥試料を入れる。
A  ふるいを水平な円を描くように数分間ふるう。
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B  粒径ごとにふるい分けされた試料をサンプルビンに入れて保存する。

(3) 鉱物プレパラートの作成
 スライド写真(35o版)用マウントを使って,鉱物プレパラートを作成する。
@  40×35oの大きさに切ったOHPフィルムの片面に透明両面テープを貼り,スライド写真用マウントに取り付ける。
A  透明両面テープに粒径ごとに分けた試料を順に貼り付ける。
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B 試料名,採取地,採取日を記入する。

(4) 鉱物の観察と同定
 ふるい分けした試料には,石英や輝石などの鉱物や火山ガラス,火山岩片などが含まれている。ルーペや双眼実体顕微鏡を用いて観察し,色,形,割れ方などの特徴から同定を行う。
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主な鉱物の特徴は次のとおりである。
石英・・・・無色透明から白色半透明である。貝殻状の断口で不規則に割れる。
長石・・・・無色透明から白色不透明である。格子状の筋(へき開)があり,割れた面が四角形のものが多い。
輝石・・・・淡緑色透明から暗緑色不透明である。短柱状で,断面は,長方形のかどを取った形(八角形)をしている。
磁鉄鉱・・黒色不透明で金属光沢がある。正八面体で磁石に付く。
火山ガラス・・無色透明から白色半透明のものが多く,まれに暗褐色のものもある。電球が割れたような破片状のものや細いガラス管を束ねたような繊維状のものがある。
火山岩片・・・・多孔質の軽石や暗灰色の安山岩の岩片が多く見られる。
写真画像 アカホヤ火山灰 シラス 桜島薩摩火山灰


 火山灰に含まれる鉱物の種類や量を観察しやすくすることで,マグマの性質や火山の形を考えさせる際に役立ちます。また,鉱物を観察する機会が増えることで,火成岩に含まれる鉱物の種類が考えやすくなります。


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