令和7年度 東京大学大気海洋研究所夏季集中サイエンスキャンプ

公開日 2025年07月30日

 2025年7月28(月)〜30日(水)に千葉県の東京大学柏キャンパスにて行われた令和7年度の夏季集中サイエンスキャンプに2年生6名が参加,発表を行いました。


 4期生となる今年は2人組で3チームを作り研究を行ってきました。研究テーマは以下のとおりです。
  チーム1「不純物の入った貯水タンクの水や,鍾乳洞の水で植物は育つのか」
  チーム2「災害時における水の確保と家庭での軟水化について」
  チーム3「焼酎粕及び砂浜に打ち上がった海藻の堆肥化による赤土流出の防止」

 1月に選考会をスタートし,東京大学の先生方とオンラインで指導助言をいただきながら研究を進めてきました。

 今年度は古仁屋高校,大島高校の生徒も参加して研究を行いました。

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 28日(月)は開講式で大気海洋研究所所長の兵藤教授及び,サイエンスキャンプを主催してくださった横山教授よりご挨拶いただきました。そしてサイエンスキャンプ1期生で東京大学理科2類の与論高校卒業生より「貴重な機会なので一生懸命頑張ってください」と応援メッセージをいただきました。

 今年度は海外からの大学院生やインターンシップで東京大学に来ている方々も多く,英語で自己紹介を行うなど,積極的に英語でコミュニケーションを取る姿が見られました。

 次に,ラボツアーで世界に1台しかない測定機械や海洋生物の飼育室などを見学させていただきました。とても高度な実験等を行なう装置なのですが,高校の化学や物理で学ぶ知識で原理を説明していただき,当然ながらアカデミックな研究も中学・高校で学ぶ理科の知識が基礎になっているのだと再認識しました。

 午後からはICP-AES(誘導結合発光プラズマ発光分光分析装置)という特殊な機械で元素を測定するために採取してきた水サンプルの希釈作業を行いました。チームで協力しながら良いペースで作業を進めることができました。

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 希釈作業が終わったチームはICP-AESで測定をスタートしました。炎色反応の原理で元素を細かい値まで測定することができる機械です。

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 29日(火)は測定を昼までに終わらせて,結果をもとにした考察を行っていきました。表計算ソフトを用いてのグラフ作成やデータの分析など慣れない作業がたくさんありましたが,東京大学の先生方や大学院生の方々に付きっきりで指導・助言をいただき,たくさん助けてもらいました。夜もホテルで発表に向けてほぼ徹夜で頑張ったチームもありました。

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 30日(水) の午前中はいよいよ発表です。各チーム測定結果と自分たちの考察を述べていきます。質疑応答に対しても自分の意見を述べたり,これからの研究のアドバイスをいただいたりしました。発表前はとても緊張していましたが,終わった後はホッとした表情とともにやりきった充実感に満ち溢れていました。与論町役場でも多くの方々がオンラインで視聴し,大盛況とのことでした。また今年度は前期夏季課外の最終日ということもあり,与論高校でも1・2年生が発表を視聴しました。同級生や後輩たちにとっても大きな刺激になったことと思います。

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 午後からは本郷キャンパスの見学に行きました。有名な赤門や安田講堂はもちろん,実験施設なども見せていただき,普段見ることのできない大学に興味津々でした。

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 大変な3日間でしたが,日本最高峰の研究を行っている東京大学で先生方や学生と交流し,大学レベルの研究を一部でも体験できたことは間違いなく生徒たちにとって大きな財産となったことでしょう。今回の研究結果を少しでも地域の方に知っていただき,還元していきたいと思います。お忙しい中準備,サポートをしてくださった東京大学の先生方や学生さん,本当にありがとうございました。生徒たちの研究も考察を重ねる毎におもしろいものになっているので,今回感じた課題や,いただいた助言をもとに今後の研究をさらに発展させていきたいと思います。

 


「令和7年度 夏季集中サイエンスキャンプ」は、東京大学SDGsプロジェクト「亜熱帯・Kuroshio研究教育拠点の形成と展開-亜熱帯化する日本のベースライン評価と生物圏・人間圏の研究-」の一部である「海と希望の学校 in 奄美」のプログラムの一環として実施されました。
https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/uci/ja/projects/sdgs/project_00219.html