公開日 2026年01月28日
デザイン思考とデジタル技術の実践:令和7年度 ミライデザイン科 活動記録
種子島中央高校ミライデザイン科は,「デザイン思考」と「デジタル技術」を身につけ,新しい価値を創り出し,さまざまな問題を解決できるデジタル人材の育成を目的としています。
・デザイン思考とは
相手の困りごとを深く理解し,多角的な視点からチームで解決策を導き出す考え方のことです 。
・デジタル技術とは
生成AI(人工知能)やAR(拡張現実),3Dプリンター,メタバースなどの最新ツールを活用し,アイデアを具体的な形にする力のことを指します。
この記事では,ミライデザイン科 1・2年生の令和7年度4月~12月の取組内容を紹介します。
●【1年生】デジタル技術とAR(拡張現実)技術の理解
島内のIT企業・株式会社ビレッジAIの松崎氏にお越しいただき,デジタル技術の基礎について学びました。その後,「マリオカート ライブ ホームサーキット」の実機を使用し,AR(拡張現実)技術を体験しました。カメラ付きカートが捉えた現実の体育館の風景に,デジタルのゲーム映像をリアルタイムで重ね合わせる「空間認識」や「画像合成」といったARの仕組み学習しました。




●【1年生】デザイン思考とKJ法で地域の課題解決
1年生の授業では,学科の大きな柱である「デザイン思考」を練習するため,地域の課題を付箋(ふせん)に書き出し,バラバラな意見をグループに分けて整理する「KJ法」を使いながら,みんなで解決のアイデアを出し合いました。


●【2年生】情報発信の注意点を学び、種子島の魅力をブログで発信
鹿児島県の食の通販サイト「かごしまぐるり」の代表 大園氏を講師にお招きし,SNSなどで情報を発信する際に気をつけなければいけない注意点や,ブログを書く時の大切なポイントを学びました。現在,種子島の魅力やミライデザイン科の取り組みを紹介する記事を,「かごしまぐるり」のブログにて連載しています。


●【1年生】デジタルリテラシーとメタバースの活用
情報を正しく理解し,デジタルツールを安全かつ効果的に使いこなすための「デジタルリテラシー」について学びました。その一環として、2Dメタバース内に構築された種子島や本校のオリジナルマップを探索する「お宝探し」を体験しました。インターネット上の仮想空間(メタバース)において,自分の分身であるアバターを介して他者と交流し,目的に応じた活動を可能にする空間設計の仕組みについて学習しました。


●【2年生】アイデアの発想法と創造的思考の訓練
新しい価値を創り出すための柔軟な視点や考え方を身につけるため,第一工科大学の満丸氏をお招きして「アイデアの発想法」について学びました。授業では「紙を丸めて高く積み上げるにはどうすればよいか」という実践的なワークショップに挑戦。固定概念にとらわれず,試行錯誤(トライ&エラー)を繰り返しながら構造的な課題を解決するアプローチや,チームでアイデアを出し合い形にするプロセスについて学習しました。


●【1・2年生合同】NTT西日本による大阪万博メタバースとVR体験
NTT西日本・鹿児島支部のスタッフを講師にお迎えし,同社が制作に携わった大阪・関西万博公式メタバース「バーチャル万博~空飛ぶ夢洲」の技術について学びました。
その後,実際にパソコンとVRゴーグルを使用してバーチャル万博の会場を探索しました。3DCGによってデジタル上に作られたメタバース空間の構成や,VRゴーグルによる没入感のある視覚体験,そして世界中から同時に多人数がアクセスできるネットワーク技術の仕組みについて学習しました。




●【1年生】デザイン思考の練習と地域課題への理解
地域の困りごとを自分たちのアイデアで解決するための「デザイン思考」の土台作りとして,中種子町役場の方からは「島の農業」の現状について,南種子町役場の方からは「AIを活用した乗り合いバス」の導入事例について,そして株式会社Mulberryの梶屋氏からは「問題解決のための考え方」について,それぞれ直接お話を伺いました。
自分たちが暮らす地元の課題を知り,これまで学んできた最新技術や思考法が実際にどう役立たせるのか,未来を切り拓くための実践的な解決プロセスをみんなで考えました。


●【1年生】AIの歴史とChatGPTと商品開発
AIが自ら学び「自分で考えて新しいアイデアを生み出せる存在」へと進化した歴史や,AIが一緒に考える「パートナー」として正しく使いこなすための基礎を学びました。
その後の商品開発では,対話型AI「ChatGPT」を使い,学校生活での不便なことを解決するための商品作りに挑戦しました。AIと対話を繰り返しながら,自分たちだけでは気づかなかった視点を取り入れ,商品名や企画の内容を具体的に作り上げました。


●【2年生】今治中等教育学校との交流会とワークショップ
愛媛県の今治中等教育学校の生徒を迎え,種子島の犬城海岸で拾い集めた「白化サンゴ」を利用して,世界に一つだけのオリジナルキャンドル作りに挑戦しました。本来は環境の変化によって打ち上げられたサンゴを,自分たちのアイデアで素敵な作品へと生まれ変わらせるものづくりに取り組みました。


●【1年生】3Dプリンターによる最新のものづくり
3Dプリンターが医療や建築など,実際の社会のさまざまな現場でどのように役立っているのかについても学習しました。その上で,3D生成AIでデータを作成し,3Dプリンターで実際にフィギュアを作る最新のものづくりに挑戦しました。
10月末に開催された文化祭では,「ハロウィン」をテーマにしたフィギュアを制作・販売し,約100個が完売しました。


●【1年生】AIを活用したデジタル絵本の制作
種子島に伝わる昔話を子どもたちに継承していく取組として,デジタル絵本を制作しました。種子島の昔話を調べて,デジタル絵本にするテーマを決めます。次に,「ChatGPT」を使って物語のストーリーや全体の構成を練り,画像生成AIの「Adobe Firefly」で物語の各シーンに合わせた画像を生成しました。最後に,デザインツールの「Canva」を使って画像と文字を組み合わせ,一冊の絵本として形にしました。
地元の伝統的な物語を,最新のAI技術を使って自分たちの手で新しい形に表現する,デジタル時代のものづくりを体験しました。

●【1・2年生合同】「だいちの流れ星」プロジェクトへの参加
金沢美術工芸大学の鈴木氏が進める,宇宙と地上を電波でつなぐプロジェクト「だいちの流れ星」に参加しました。まず人工衛星の仕組みについて講義を受けた後,実際に「コーナーリフレクター(反射板)」を設置する作業を行いました。
その後,リフレクター(反射板)で,宇宙を飛ぶ人工衛星「だいち」が放つ電波を反射させ,観測データを記録する実験に参加しました。

●【1・2年生合同】「和盆」とコラボ! 新商品のパッケージデザイン
ミライザイン科の1・2年生が,中種子町野間の「島’きっちん和盆」さんからの依頼で,ラスクのパッケージをデザインしました。袋と箱のデザインを提案し,選ばれた作品が実際に採用されて店頭で販売されています。自分たちのアイデアが実際の商品になるプロセスを体験しました。


●【2年生】種子島宇宙芸術祭への作品出展
種子島宇宙芸術祭実行委員会から小山田氏を招き,芸術祭に出展する作品を制作しました。「社会をよくする未来の企業・サービス」をテーマに全5回の授業を通して企画を練りました。
未来の「水・美容・睡眠・宇宙旅行」といったテーマで作成した立体物やポスター,ストーリーを種子島宇宙センターに展示。自分たちのアイデアが,地域を彩るアートとして社会へとはばたく充実したプロジェクトとなりました。

●【1年生】活動の集大成!「ミライの種子島展2」を開催
中種子町歴史民俗資料館にて,1年間の学習成果を披露する「ミライの種子島展2」を開催しました。画像生成AIによるイラストやデジタル絵本,3Dプリンターのフィギュア,ARフォトフレーム,ChatGPTで制作したレトロゲームや動画など,多様なデジタル技術を駆使した作品を展示。自分たちの学びを地域の方々へ直接届ける,活動の締めくくりとなりました。

ミライデザイン科では,1年生のうちにさまざまなデジタル機器や最新技術に触れることで,自分の興味や可能性を広げていきます。今回ご紹介したデジタル機器以外にも,ドローンやモーションキャプチャ,360度カメラなど多様なデジタル技術に触れる機会を設けています。そして2年生になると,そこで得た気づきをもとに,生徒一人ひとりが自分自身の研究課題(テーマ)を掲げ,自律的な探究活動に取り組んでいきます。
これからも私たちは,新しい技術への好奇心を大切にしながら,種子島のミライを自分たちの手でデザインし続けていきます。











